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イケおじ元魔王は、凄腕薬師でアル  作者: ゆうきぼし


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魔を呼ぶ体質

「団長の妹さんの具合が悪いのは私の家のせいかもしれません」

 フェルが思いつめた様子で話しだす。自分に責任があると思っているようだ。


「君の家? そういえば、ここに来る前は何処に住んでいたんだい?」

「町はずれの小さな家です。ですが、私の留守中に家が魔力だまりになってしまってたんです」

「家自体が魔力だまりになると人間は住めないだろう? その後君はどうしたんだい?」


「はい……ちょうどその次の日が決行をする日でしたので……」

「君にはタイミングがよかったのか……」

「今から思えばそうですね。戻る家もない。もう突き進むしかない感じでした」


 魔力だまりとは突然現れて周りのモノを吸い込んで消えてしまう、黒い渦のようなものだ。負の魔力の塊で、元は嫉妬や欺瞞、恨み、憎悪など人間の負のエネルギーから発生すると言われている。家が標的となった場合は家ごと最後には消えてなくなるので住処がなくなるのだ。また魔力だまりが消えても、しばらくはその周辺には負のエネルギーの残影の影響がでるという。


「しかし家が魔力だまりになるとは……負の魔力が集まるには何か要因となるモノがあるはずだが?」

「おそらくは母の形見の品だと……」

「心当たりがあるんだね?」


「はい。母は負の魔力や魔を引き寄せやすい体質だったようで、父がそれを制御していたようです。父が亡くなってから母は徐々に疲れやすく寝込みがちになりました」

「父親が制御できていたのか…」


「ええ。父は攻撃魔法だけでなく結界魔法や制御魔法が得意でした」

「……なるほどな…」


 サナトスは自分を倒した勇者もそういうのが得意だったなとフェルを見る。あれほどの好敵手はもう二度と現れないだろうと思いながら。


「母が亡くなるときにどんな悪影響が残るかわからないからと持ち物はすべて燃やすように言われたのですが、どうしてもできなくて……父が作った魔除けのお守りを飾って結界をはっていたのです」


「先ほどの神官の話だと父親が亡くなったのは5年前だろ?……魔除けの効果がきれたのだろうな」

「…………そうじゃないかとは思っていました」


「フェルの妹が亡くなったのも5年前かい?」

「はい。父が亡くなってすぐに。妹は母の要因を強く受け継いでました。父のお守りでは足りないぐらいに……」


「……だとしたら君も母親の要因を一部受け継いでいるんじゃないのか?」

「私もですか?」

「何か父親からお守りを渡されていなかったのかい?」

「……そういえば父からもらった腕輪をしていました……でも裏通りに逃げてくる途中で壊れてしまったのです」


「……吾輩に会う前に壊れたか……くく。面白い」

「師匠? 何かわかったのですか?」


「ああ。そうだね、きっと君は母親から魔を引き寄せる能力を受け継いだんだろう」

「うぅ。母には悪いですが……そんな厄介なものはいりませんと言いたかったですぅ」

 

 くくくとサナトスは愉快そうに笑う。だから自分と出会ったのだと。口には出さないが元から縁はあったのだと心の中でつぶやいた。あまりにもすべてがタイミングが良すぎる。これは過去からの因縁と言えよう。


「それから、もし、フェルが父親から制御魔法や結界魔法を受け継いでいたら、調剤時には役に立つぞ」

「ほんとですか!」

「扱う薬によっては危険なモノも多い。そんな時に身を守れるからな」

「師匠を守って見せます!」


「吾輩を守ってくれるのかい?」

「はい! 頑張りますね!」


 

「ははは。まったく可愛い事を言ってくれる」

 サナトスはフェルの頭を撫でた。まるでペットを愛でるように。



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