その4
(天命を司る神々の語り部として、代々占い師の仕事と、神々への祈りを家業として受け継いで、遠い昔からこの地域の人々から尊敬を集めていた一族の長の一人たる人物の血を受け継ぐあの占い師が、不幸に見舞われた結末とはいえ、ホームレスにまで身を落としてしまい、極限の貧困の中で死んでいくとは。。。)
綾は、占い師とは、それほど深い関わりがあるというわけではないが、占い師の死は、絶対に見逃してはならない事項に思えた。
ここに、一枚の地図がある。この地図には、この世界と異世界とのありようが描かれている。また、この地図には、この世界と異世界との結びつきが、概念図として描かかれている。さらに、この世界と異世界とを結ぶ鉄道路線と列車の停車駅が書き加えられている。
この一枚の地図を綾は、先程から眺めているのだ。綾は、集中している。綾の集中の度合いがスゴい。気合は、綾の身体全体から発せられるのが見て取れる。火炎が綾の身体から沸き起こっているように見える。
綾は、手元にあるスマホに声をかける。そのスマホは、どこかでみかけたようなスマホであった。それもそのはず、そのスマホは、確かに、あの占い師が持っていたものである。
スマホから、いかにも嫌々(いやいや)ながらの人工知能のあの声がする。
「綾さん。もうこれぐらいで勘弁して下さいよ。綾さんからは、一円の課金も、サブスク料金も頂戴しているわけではないのですから。。。」
「ふん!」
綾は、鼻で笑ってみせた。
「人工知能さんよ! このスマホの奥の奥に隠れていた人工知能さんよ! 人工知能さんを守っていたセキュリティを無力化し、課金もサブスクもなしで、わたしが人工知能のちゃんと受け答えできようにしている私の力を見くびると、人工知能さん、あんた本当に最大級にこまったことになってしまうよ」
「。。。」
「人工知能さんよ、わたしが本気で怒ったら、ただでは済まないよ。あんたの後ろについている黒幕のことだって解析できるかやってみるのも面白いかもね」
「綾さん、分かりました。綾さんの疑問にお答えします。その異世界とこの世界との路線図について、綾さんの疑問について答えれば良いわけですよね。だったら、この質問、データーセンターへの負荷が大きな質問なんですけど、課金もサブスクもなしで答えますから、答えたあとは、わたしのことを自由にして下さい。よろしくお願いします」
「えっ?」
綾の声は、人工知能をとても不安にさせた。
「人工知能さん、あんたが徹底的に解析されるのが嫌なら、あんたは一生わたしの奴隷でいるしか道はないんだよ。ハハハ。ハハハ。。。」
綾の笑いは、いつまでも続く。
(つづく)




