その5
その5
その日の午後過ぎ、綾の父親は珍しく、会社から早く帰ってきた。
父「なんか静かになったね。お昼と比べて。綾さんはおでかけかい」
母「綾さんは、お仕事でおでかけですよ」
父「。。。綾さんはなにか仕事をしていました? 綾さんは、どこかの会社員? それはまた初耳ですね。。。」
母「お父さん、冗談がきつい! そんなに大事なことを忘れてしまうなんて。」
綾の家庭において、綾の仕事をめぐる情報は非常に希薄であった。
綾は、就職しているとは思えないような生活ぶりであったからである。
はじめに、綾は、最近の何年間かの期間、すっかり自分がニュース社というニュース配信会社の社員であったことを忘れてしまっている。
本当に、綾にとって、いくらかでも自分が、ニュース配信会社の社員であることを自覚することは、銀行の自分の口座へ毎月給与が送金されているのとを確認する数分の時間の間のことだけである。
綾が働くニュース社では、とうの昔に、綾の机は撤去され、ただ、綾の所有物をしまうロッカーだけが残されていた。
* *
綾が、突然会社などに行ったため、綾の父親は、胸騒ぎというか、言いようのない不安を感じた。
父「綾は、何の用事で会社に行ったんだ? 綾は、なにか言っていかなかったかい。たとえば、誰かに会う予定があるとか」
母「確か、地図を持ってました。そして、例の、わたしが、そんな汚れたスマホ捨てておしまいなさいと言った。そのスマホ、まだ捨ててないので、腹が立ちました。そして、ゲームの話をしてましたよ。本当に、いくつになったら、綾はゲームをやめてくれるのやら。綾は、ゲームのことが頭からなかなか離れない様子で、うわ言のように『王様になれる! 段取りはつきそう』と、ご飯の間中、言ってました」
綾の母親の愚痴は、止まりそうもなかった。
綾の父親は、綾の母親の愚痴を聞いているうちに、父親は、母親の愚痴に思い当たることがあった。
父(綾が、天界を支配する神々の王になるだって? なるほど、綾の計画に合わせて、ウチの会社の事業計画見直す必要がありそうだな)
綾の父親は、天界を支配する神々の王様になりそこねた大昔のご先祖様の話が頭に浮かんだのだ。
* *
綾は、会社に向かっていた。綾が勤めているのは、ニュース社という、ニュース配信会社である。
綾は、会社に到着すると、ニュース社の同僚たちに挨拶して回った。綾は、このとき、綾にできる限りの愛想の良さで、会う人のすべてに微笑みかけたのだ。
(わたしの計画には、この人たち全員の協力が必要!)
綾は、ニュース社にある綾専用のロッカーに向かった。ロッカーには、綾の仕事用のスマホと、仕事用の名刺入れがおいてあった。
綾は、会社用のスマホの充電を待つ間、ニュース社の何人かと話をした。
そして、綾は、会社を退社した。
そして、綾は、会社を出るといつものカフェに向かった。そして、カフェでは、いつもの飲み物とお菓子を前に、頭の中の情報をまず整理することにした。




