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女侯爵と誰か  作者: 氷村はるか
第二部

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第68話

お勧めしてくれたことだし、読んでみましょう。

自室でしばらくの間はリゼを相手におしゃべりをし、執務室へと行くと再び書類と向き合います。

今は領民からの嘆願書や相談事に目を通していますの。


「まあ。お可愛らしい」


中には小さな子が書いたと思われる、絵付きの紙が混ざっていることもしばしばあるのです。

わざとなのか、それとも何かを訴えているのかよく見ないと理解できない事がたまにあるので、別の木箱に分け入れているのですが。


「なんだかお可愛らしい書類が随分溜まってしまっているわね」


ひとりごとの様に言うと、ジョンソンが反応しました。


「子供たちにしかわからない何かを訴えているのでしょう。どこかに大人が添え書きをしているものがあるかもしれません」

「その可能性もあるわね」


急ぎの書類は昼間に終わらせたので、それ以外の書類を脇に置き、子供たちが書いた紙を見ていくことにしましたの。


「あら、これは犬と遊んでいるところかしら。こっちは森ね。籠を持っているから何かを採取しに行ったのね……」


ここでふと、疑問に思いましたの。

紙とペンは平民が気軽に持てるものではありません。貴族家さえ持てない者もいるのです。

なのに書かれている紙の中に数枚ほど、平民の暮らしと思われる場面が描かれ添え書きされたものがあったのです。


「ご当主様、これら数枚の紙に描かれている場面などは、もしかしたらリネル様の騒動と関連があるのではないでしょうか」

「あなたも不審に思ったのね。これは何かを要望しているのではなく、訴えているのでしょう」

「その様に思います。何か大きな渦に巻き込まれる。そんな予感がしてなりません」



読んで頂きありがとうございます。


前書きにはお知らせや報告したいことを短文では書き込みますが、長文は読み手の方の邪魔になりそうで書く気になりません。

なので感謝の気持ちは後書きになってしまうのです。


少しでも楽しんで頂ければ嬉しいです。


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