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女侯爵と誰か  作者: 氷村はるか
第二部

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第67話

やはり急に普段と違う茶葉を使うのはおかしいわ。

リゼなら必ず伺いを立ててくるはずだもの。

読んでいた本から目を離しリゼをじっと見る。

いつもと変わらないと思っていましたが、少々落ち着かない様に見えますの。

問いただしても素直に答えてくれるかしら。

ここは何も干渉せずにいるべきなのかしら。

彼女の実家は子爵家。貴族のなんたるかを知らない家の者ではありません。

それよりも気になるのは……。


「エルフレット様は今夜もお泊りになるのよね」

「はい。そう伺っております」


彼の事が気になるのは何なのかしら。

特にリネルと一緒にいるのを見ると胸が苦しい。

私たちは幼馴染みですもの、二人が一緒にいたっておかしなことではないのに。


「ねえ、リゼ。特定の男性が女性と一緒にいるところを見て、胸が苦しくなるのは病気なのかしら ? 」

「……ご当主様」


リゼは私を憐れむような表情をしてから笑顔を作ります。


「今までそのようなお気持ちを感じることが難しかったですものね。それは病気ではありません。ご当主様にとってはとても良い傾向だと思います」


そう言うと、少々お待ちくださいと侍女用の部屋へ入ってしまいました。

戻ってくると手には一冊の本を持っていましたの。


「様々な本を読むのですが、気休めにこのような流行ものも良いかと、休みの日に目を通しております」

「これは恋愛小説ね。確かに読んだことないわ」


いかにも恋を題材にしていますと主張しているかのような、ピンクの装丁に周りを花々で囲まれた男女のシルエットが描かれているものでした。


「寝物語として読んでみてはいかかでしょうか」


そうすれば原因がわかるのかしら。



読んで頂きありがとうございます。

少しでも心が軽くなるひと時を過ごせますように。



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