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女侯爵と誰か  作者: 氷村はるか
第二部

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第66話

私が応接間を出てから話が弾んだようで、夕食の時間になってもなかなか食堂には現れませんでした。


「私も当主としてまだまだですわね」


お邪魔している家の当主をほったらかして歓談に夢中とは。

これから会いづらくなるのだからそのままにしてあげようという気持ちと、学園を卒業して社交界で生きていくのだからちゃんとしなさいという気持ちが、胸の中でぶつかりあっていますの。


食堂のテーブルについてどれくらい経過したかしら。


「ご当主様、リネル様をお呼びいたしましょう」


ジョンソンは呆れ気味に言いました。きっと私と同じ気持ちなのね。


「ここでの滞在が終わったら、会える機会はそうないのだから今日だけは自由にしてあげて」


承知しましたと引き下がるジョンソンを見ていた使用人たちは、どこか納得いかない様子でした。

使用人と言っても同じ貴族家出身者が多いのです。

マナーを知っているがゆえに好ましくないと感じてしまうのでしょう。

先に食事を済ませ自室に入り、一息をつくとリゼにお茶を頼み一口飲みます。


「あら、いつものお茶ではないのね」

「はい。ワグナイヤ家のお嬢様が、自領ご自慢の茶葉をお持ちしたとのことで、是非ご賞味くださいとのことでしたものですから」


リゼは悪気はないのでしょうが侍女として良くないですわね。

銀食器には反応がなかったけれど、他のモノだったらどうするつもりだったのかしら。


「申し訳ないけれどいつもの茶葉にするわね」


棚から茶葉を取り出すと自らお茶を入れてみせ、座っていたソファに戻りました。


「私がお入れしましたのに」


申し訳なさそうにするリゼに「気分転換がしたかったのよ」と言い訳をしてしまいましたわ。



読んで頂きありがとうございます。

皆様の気分転換になればいいなと思っています。



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