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女侯爵と誰か  作者: 氷村はるか
第二部

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58/70

第58話

「いいのよ。そのまま帰っていただくのは気が引けていたの。あなたの判断はとても良かったわ」

「恐れ入ります」


二人が行動を共にするということは、エルフレット様の領地で何かあったのかしら。

アステリア領は海辺とは言え、海向こうの国と領海を巡って小競り合いが度々あるところです。

領主であるエルフレット様の不在中に何かあったのでしょうか。

今のところ、本人に慌てた様子がないので大丈夫だということでしょうが。


「ジョンソン、リネルの様子はどうなのかしら」


尋ねた途端、暗い表情になりゆっくりと首を左右に振る。

やはりショックが大きかったのですわね。

政略結婚でも、一度解消されてしまったとなれば、次に手を取ってくださる殿方は皆無に等しいですもの。


「リネル嬢と聞いて思い出したのですが、昨夜の式典は妙な雰囲気でしたね」


エルフレット様は眉尻を下げ話すべきか悩んでいる様子。


「その妙な雰囲気。私が感じたものと同じかもしれません。話していただけませんか ? 」


お茶会やお食事をご一緒する時は、楽しいお話をしながらなのですが、今はお互いその様な気分ではなく、思考を巡らせながらになってしまいましたわ。


ジョンソンは済ませた食器類を積んだワゴンを廊下へ出すと、侍女を中へ入れず扉の外で待たせています。

ここだけの秘密にしたいということですね。

昨夜お二人で話されていた時にお決めになったことなのでしょう。



いつも読んで頂きありがとうございます。

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