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女侯爵と誰か  作者: 氷村はるか
第一部

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52/69

第52話



「なぜこんなにも遅い、計画が狂ってるんだぞ ! 」


紐を床に勢いよく叩きつける、乾いた音が部屋に響いた。


「第一王子と側近を駒に出来たのだから成功じゃない。薬を使わないと無理だったのよ」


怒りを押し殺した少女の声が言う。


「使わなくても出来ると言ったのはお前だ。あの方には報告がいっているだろう、判断を待て。それまで王子に会いに行くなど勝手な事はするな」

「しょうがないでしょ。頻繁に会わないと効果が薄れるんだから」

「だから使うなと言ったんだ。今度無駄な動きをしたら消す」


そう言うと少女の前から一瞬で姿を消した。


「随分と簡単に言ってくれるじゃない」


悔しさと怒りで醜くなっている少女の顔を見た牢番の兵士は、恐ろしものを見ぬふりをするために酒瓶を煽った。




 ◇ ◇ ◇




「ごきげんよう、リネル様」

「ごきげんよう、ロディエンヌ様」


昨日の出来事がまるで夢のような時間だったためか、足元がふわふわしてしっかりと歩いているのか自分でもあやしかった。


「何か良い事でもありまして ? キンデンベルク様と進展があったのかしら」


小声で問われ顔が熱くなってしまう。


「あら、その様子だとお二人のご関係は噂通りということね」


ロディエンヌ様の言葉が引っかかり、現実に引き戻されましたわ。


「あの。噂とは……」


彼女は鈴が鳴るような声で笑うと、私とミラウス様のことは、少し前から良い仲なのではと囁かれていると言うことでした。まあ、私自身も少々耳にしていましたが。




読んで頂きありがとうございます。


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