第46話
まるで獣にでもなったように唸り始めました。
「ちょっと…異状ではなくて ? キンデンベルク様、それ以上近づかない方がよろしいと思いますわ」
止めるロディアンヌ様に笑顔を向けると「ご安心ください」と言い、歩みを止めることはありません。
真正面に立ったミラウス様に手を上げた殿下。
その手を掴み止めた彼は、何やら殿下へ耳打ちをしております。
「殿下…… ? 」
思わず声をかけますと、その場に頽れる様に気を失ってしまわれました。
ミラウス様が受け止めたのでお怪我をすることはなかったのですが、殿下の護衛に何かを言うとこちらへ戻っていらっしゃいます。
「これをご覧ください」
眉根を寄せた彼の手の中には、近頃、殿下が身に着け始めた耳飾りの片方がありましたの。
「この濃さはガーネットかしら。これだけ色味が深いと少々お値段張りますわよ」
ロディエンヌ様が触れようとすると、ミラウス様はそれを阻止しました。
「最近、ユフィ嬢と懇意にしている令嬢や令息。特に殿下周りの方々が身に着け始めたものです。予想が当たって欲しくはなかったのですが……」
悔しそうな表情で耳飾りを見つめたあと、侍従に言伝をし何処かへ向かわせました。
「さて、一応はお二人の身の危険は去りました。耳飾りの事に関しては後ほど手紙を送らせていただきます」
どこか納得いかないという感じで「わかりましたわ」と、ロディエンヌ様は帰宅をいたしました。
私はミラウス様と二人だけになりどこか落ち着かなくて、そわそわしてきましたの。




