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女侯爵と誰か  作者: 氷村はるか
第一部

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45/71

第45話

大声を張り上げたのは初めてのこと。貴族令嬢らしからぬことをしたのは自覚しています。


「ふざけるな、王族侮辱罪を適用するぞ ! 」


私が大きな声を出したためか、ロディエンヌ様は冷静になられて言います。


「侮辱罪を受けるとしたら、殿下だと思いますわ」

「ワグナイヤ嬢。貴様は友人をちゃんと選ぶべきだったな。リネル嬢に毒されたのだろう」

「…………」


なんでしょうか。ロディエンヌ様と私の手は、強く握られ力が入りすぎて、小刻みに震えてしまいます。

その手が突然、優しくあたたかいものに包まれ顔を上げました。


「これ以上は、あなたの綺麗な手に傷が入ってしまいます。そうなると私は私自身を許せなくなってしまいます」


隣にはいつの間にかミラウス様が並び、笑顔を向けてくださるのですが、眉尻が下がり困っているようにも見えましたの。


「キンデンベルクではないか。人の婚約者に手を出しおって、恥を知れ ! 」

「それをあなたが言いますか」


声のトーンを落としてそう言ったミラウス様は、怒りで我を忘れているミスリー殿下の方へ近づいて行きます。


「キンデンベルク様、お戻りください」


我が家の護衛が思わず声をかけてしまいました。上の者へ声をかける覚悟を持っての言葉です。


「ありがとう。あなたにはしっかりと姫を守っていただきたい」

「は、はいっ ! 」


ミラウス様の言葉に力強く返事をすると態勢を整え、ロディエンヌ様の護衛と共に陣を組み直し守りへと戻りました。


「何を笑っている ! 」

「あなたは自分が現在までに何をしたのかご理解されていますか ? 」


眼光鋭く彼を見る殿下は、何かに取り憑かれている様な、私が知っている殿下ではないように思えました。


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