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女侯爵と誰か  作者: 氷村はるか
第一部

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44/69

第44話

目の前の山積みになった問題と、自分の事で頭の中が一杯になっていましたわ。


「しばらく様子を見て、両陛下にお伺いを立ててみましょう」

「はい。そうしましょう」


嫌な話は終わりにして別の楽しい話をしましょうと、巷で流行を始めた珍しいお花やお菓子の話題になった時でした。


何かが暴発でもしたのではないかと思うほどの大きな音が近くでしましたの。

私たちを守るために立った護衛の向こうから、聞き馴染みのある声が怒鳴ります。


「リネル=ディミトリウス。私の事を散々言っておきながら、自分が不貞を犯しているのではないか ! 」


ロディエンヌ様がご自身の護衛を下がらせます。では私もと護衛の顔を窺うと、首を左右に動かしました。


「何を騒いでいるのですか。みっともない」


睨みをきかせたロディエンヌ様に一瞬怯むミスリー殿下。

それを振り払う様に乱暴に頭を左右に振ると、きっ、とこちらを見ますが、その目は私の知らない恐ろしく憎しみを含んだものでした。


あなたがその瞳をするのですか ?

何もかも上手くいかないのは、私のせいでも他人のせいでもなく、完全なる自業自得でありますのに。

このお腹の底から込みあがってくるふつふつとした熱いものはなんでしょう。


「あ、あなたは…すべて、自分のことは棚に上げて、私や他人に迷惑を掛けるだけではないですか。なんと情けない事でしょう ! 」


言葉を飲み込もうとしても、口を止めようとしても、自身ではできませんでした。



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