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女侯爵と誰か  作者: 氷村はるか
第一部

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第4話

自信満々に言う殿下の一言に驚いた取り巻きの一人が、彼の前に立ち諫言をしました。


「殿下、そのような話は出ていません」

「うるさい。後ろへ下がっていろ」


勇気ある彼は手を強く握りしめ、渋々後方へ戻って行きました。

一人でもまともな方がいて良かったですわ。

お集まりの方々は青ざめていらっしゃいますけれど。

もしやこの目の前の頭お花畑の殿下は、私が公爵ではなくその下の侯爵であるため、無下にしても問題ないと考えているのかしら。


このエルジリア国では力の大きさは爵位に関係ございませんのに。

一体、今まで家庭教師の方々から何を学んでいらしたのかしら。

私に対する発言に謝罪するよう促す取り巻きの方もいらっしゃいますね。


「私は王族だ、頭など下げん」


本当に頭が空っぽなのですね。婚約を無効とされてよかったかもしれません。

扇子で口元を隠し小さく息をはきだすと殿下をきつく見つめ返します。


「当主である私の元に通達が無いため、婚約解消をすることはできません」

「お姉さま」


不安そうに目を合わせる妹の手を、励ますように優しく握り返します。

ああ。こんなにも冷たくなってしまって……。


「大丈夫。何も心配いりませんよ」


俯いた妹は心の中で粗方整理をつけたのでしょう。

前を向いた瞳は弱々しくも決意をしたものでしたわ。


「私はユフィと正式に婚約をするのだ」


今まで目に入りませんでしたけれど、ユフィと殿下に呼ばれた少女はいやらしくも腕に体を押し付け、私たち姉妹をなんとも醜いお顔で見てきましたわ。

この娘は学がないのもそうですが、貴族とはどのような存在なのかもきちんと理解していなさそうですわね。




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