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女侯爵と誰か  作者: 氷村はるか
第一部

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39/72

第39話

疑うのはよくないと思うのですが、貴族社会にはあることですわ。


「ユフィ嬢が間諜ではと、私も疑い始めておりました。私と殿下の仲を悪くするには、あまりにも敵を作りすぎていると思いましたので…」


私を孤立させるという意味で上手くいっていると思っているのでしょうが、実際は私の見方を作ってくれている。

あちらにとっては失敗したのでしょうね。


気になるのはユフィ嬢の令息方へのアピールが異常に多いということ。

男爵令嬢とのことですが、平民よりも自分の立場をわきまえることができていません。


「ユフィ嬢は本当に男爵のお嬢さんなのでしょうか」

「そのことなのですが、残念ながら我が国の男爵家の令嬢であることは間違いありません」


え、本当に… ?

それであのような振る舞いですの ?

信じられませんわ。


「もしや、お家の方に冷遇されていたりしてお作法が…」


だとしたら、敵方とはいえなんとかして保護をしてさしあげなければなりません。


「リネル嬢は優しい方ですね。他を慮ることができるのは素晴らしいことです」


あら ? まただわ。

ミラウス様から嬉しい言葉をいただくと顔が火照ってしまいます。

なんだか恥ずかしくて顔を両手で隠してしまいましたわ。


「本当に可愛らしい方ですね」

「え…」


ミラウス様は顔を隠していた私の手を取ると、私の目をじっと見つめながら甲に唇を近付けましたの。

婚約しているとはいえ、ミスリー殿下からこのような扱いはされたことがないので免疫がありませんのよ !

どう返したらいいのかわからず、体が驚いて固まってしまいました。


読んで頂きありがとうございます。

そろそろお姉さんのリセルレットの視点に戻って行く予定です。

楽しんでいただければ嬉しいです。


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