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女侯爵と誰か  作者: 氷村はるか
第一部

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38/69

第38話

ミラウス様は金属球を軽く握り目をとじます。

その間に金属球が淡く光り出し、発光が終わると彼は目をあけました。


「今、遮音魔術を馬車にかけました。これから話すことは外に漏れることはありません。万が一にも知っている者がいたら教えてください」

「わかりましたわ」


ミラウス様は後ろの小窓を数回ノックします。すると、さきほど扉を開けてくださった執事服の少年から折り畳まれた紙を受け取り、読み始めました。

終えると丸い金属球に紙をあてます。


「まあ ! 燃えてしまいましたわ」

「魔道具を見るのは初めてですか ? 」

「はい。金属で出来ているのでしょうか。重みがありそうですね」


少しの間魔道具の話になってしまいましたが、とある術の話になった時に自然とユフィ嬢のことについての内容に戻りました。


ミラウス様は真剣なお顔になると姿勢を正します。


「ユフィ嬢のことについてなのですが、やはり大きな問題となると思われます。家の者による調べだと、ユフィ嬢は敵対隣国ネリスカ国の間諜でした」

「……そうでしたか」


違って欲しいと思っていたのですが…。

女の勘は当たりやすいというのは本当なのでしょうか。

勘というよりは不安が現実となってしまうことでしょうか。


「あまり驚きませんね」


悪戯っぽく言う彼は普段と違い幼く見え、なんだか胸の内がくすぐったくて自然と笑いが込み上げてしまいます。


「何か可笑しなことを言いましたか ? 」

「い、いえ。すみません」


深呼吸をして落ち着かせます。



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