第37話
この気持ちには蓋をしておいた方がいいような気がするのですが、隣にいる彼の存在が心地よくて、拒みたい気持ちを消してしまうのでした。
「まあ、リネル様ったら殿下に相手にされないから別の方となんて」
「ユフィ様の言う通りでしたわね」
廊下を歩いていると私の噂話を始めている方が多くいました。
彼女が走って行ったのは話を大きくしてばらまく為だったのでしょうね。
「リネル様、あなたは何も悪い事などしていません。味方もいらっしゃいます。堂々としていましょう」
励ましてくださる彼に感謝の思いでいっぱいになり、言葉にすることが出来ず頷くことで返事としました。
すれ違う度に何かと言われるのですが、彼らは第一王子派のお家の方々だと分かりましたわ。
第一王子派ということは、必然的にユフィ嬢の味方でもあるということになると思われます。
それにしても……。
「広がりが異常に速いですわね」
「ええ。そう思います。殿下と側近、ユフィ嬢が広めたとしてもおかしいです」
これ以上の話はここですることではないと判断しました。
お互いに笑みを交わすと、以降は無言で移動を続けましたわ。
ここまで私の事が広がっているということは、お姉様の耳にも入っているのではないでしょうか。
ご心配をおかけしてしまい苦しいです。
馬車停めにつくと、すでにキンデンベルク伯爵家の馬車がありました。
「ミラウス様、リネル様。おかえりなさいませ」
ミラウス様の専属侍従の方でしょうか。彼と年の近い執事服の方が馬車の扉を開けます。
私とミラウス様が向かい合わせに座ると、馬車は進み出しました。
「少々失礼します」
彼はそう言って胸の内ポケットから、手のひらサイズの丸い金属球を取り出しました。
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