第36話
何事かと思いましたら、ミラウス様がユフィ嬢を睨みつけておりました。
敵を見つけた騎士の様に。かと思えば……。
「リネル様、よろしければ馬車をご一緒してもよろしいでしょうか」
私の手を握ったまま、とても穏やかで優しい笑顔を向けてこられます。
「は、はい。ご一緒させてください」
笑顔を見て、何だか胸の内があたたかくなり、その熱が顔まで伝わってくる感覚がしましたの。
ミラウス様のお言葉で皆さん解散となりました。
各々教室を出て行く様子を見ているユフィ嬢は「あいつの言う通りにしてるのに」と、やっと聞き取れるほどの小さな声で呟いているのを耳にしました。
彼女の企みについて知っておかなければなりませんね。
「では、行きましょうか」
「はい」
ユフィ嬢は言葉を交わし合う私たちの間をわざと通ろうとしますが、ミラウス様は私の体を引き寄せ、肩を抱き馬車停めまで歩きだしました。
その横を彼女がなんとも醜い顔をこちらに向けながら走り抜けて行きます。
「彼女の事については、ただ殿下の寵愛を欲しがっているようには見えないと感じています。気になるので家の者に調べさせているところです」
私の中の小さな疑いが大きく膨れ上がり、確固なものになろうとしています。
そ、それにしても私はいつまでこの状態でいればよいのでしょう。
「あ、あの……」
「はい ? 」
自分の耳まで熱くなるのがわかります。
「あっ。す、すみませんっ」
彼は慌てて私の肩から手を離します。
私の熱が移ったかのように耳まで真っ赤になって。
その姿を見て何だかお可愛らしいと思ってしまったのです。
いつも読んでくださりありがとうございます。
ユフィ男爵令嬢の周囲がきな臭い感じに・・・。
気が付いたら人生で一番多い文字数を執筆しておりました。
これからも頑張ります!




