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女侯爵と誰か  作者: 氷村はるか
第一部

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35/71

第35話


何度注意しても聞き入れず、他人の人間関係を壊す事ばかり。

もう何を言ってきても、されても関わりたくない。

この場の雰囲気はそう語っております。


一方、ドアに走って行ったユフィ嬢は、いると思っていた殿下はおらず、ミラウス様が立っていたため驚かれておりました。


「あ、あなたは。ミラウス様ではないですか」


泣いていたはずなのに涙はどこへいったのか。

ミラウス様へ抱きつくのではないかと思ってしまうような触れ方をしようとしております。

私は足早にユフィ嬢の元へ行き、彼女の腕を掴み止めましたの。


「リネル様、痛いです ! 放してください」


そこまで強く握ってはおらず、振り払おうと思えばできるほどの力しか使っておりませんのに。


「やっぱり婚約者である殿下のお傍に私がいるのが気に入らないんだわ ! 」


ユフィ嬢は私を挑発したいのでしょうね。……相手をしたくないのですけれど。

あのような信用のない王子などこちらから願い下げですわ。


「ユフィ男爵令嬢、あなたは随分と酷なことをする方だ」

「え ? 」


ミラウス様はユフィ嬢の手首を掴んでいた私の手に優しく触れます。


「美しい手が汚れてしまいます。皆さんも、もう授業終了時刻ですよ」


一斉に窓の外を見ると空はすでに茜色へと染まっておりました。


「ほんとだ。もう帰らなきゃ。ミラウス様、私」


場の空気が読めないユフィ嬢は、ミラウス様に近づこうとして肩をはねさせましたの。




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