第34話
ユフィ男爵令嬢は私を引きずり下ろし、王妃の座を狙っていると囁かれているそうですが、私が思うにそれは彼女にとって布石でしかないように思えるのです。
「だ、だって皆さん声を掛けても無視してくるではありませんか ! 」
彼女が自分の世界へ入り込み、ご自分の無作法を正当化するために何かと話していると、ドアの向こう側に帰邸したはずのミラウス様が現れました。
彼はユフィ嬢を認めると眉間に皺を寄せます。
教室中の生徒がミラウス様に視線を向けたのを、殿下方が起こしになったと勘違いなさったのでしょう。
ユフィ嬢によるユフィ嬢のための演技に熱が入ります。
「リネル様という婚約者がいるのに…殿下を愛していしまった私が悪いんです ! 」
少しも罪悪感を感じていないのは手に取る様に分かります。
教室内に広がる、呆れた声とため息にどのような意味が込められているのか、彼女には理解できないようです。
「男爵令嬢ってたしか、高位貴族の養子に入っても愛妾にしかなれませんでしたわよね。ユフィ嬢が王妃を狙っていると噂がありますが無理なお話ですわね」
一人の令嬢が何気なく言った言葉に歪んだ顔をするとドアに向かって走り出します。
「ひどい ! リネル様は殿下とお茶さえしてあげないのに、愛してもいないのに正妃になろうとするなんて」
再びズレたことを口にしだすユフィ嬢に対し、皆様は疲れた表情をしておりました。
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