第32話
真剣に言うミラウス様。
ご心配してくださるのは嬉しいのですが、私にはすでに自家の護衛と王家の影がついております。
「ミラウス様。お心配りありがとうございます。私には自家の者と王家の者がついておりますので、ご安心ください」
私の返答に少しお考えになっておりましたが。
「そうですか…何かありましたらいつでもご相談ください」
そう言って優しい笑みを浮かべて去って行きました。
ミラウス様の紳士な姿をミスリー殿下と比べてしまいます。
社交界デビューしてから、貴族社会がどのようなものか理解しているのですが。
去って行く彼の後ろ姿がとても逞しく思えたのです。
教室に戻ると異様に静まり返っておりました。
私を見ては何やら友人同士で囁きあっています。
これはまたユフィ男爵令嬢の仕業でしょうか。
気にしないという様に席に着き授業の準備をしていると、二人の令嬢がこちらへいらっしゃいます。
「あの、リネル様。先程ミスリー殿下方がいらしたんです」
「その時にリネル様はもちろんのこと、ディミトリウス家と懇意にしている者も、在学中の立場が悪くなると思えと言ってきたのです」
どうしたらよいのかわからないという様子で、おろおろしながら教室内の雰囲気の説明をしてくださいました。
私は聞き間違いをしたのではありませんわよね… ?
リネルという私個人ならまだしも、ディミトリウス家に喧嘩を売ってきたと考えてよろしいのですわよね。
「教えてくださったお二人の勇気に感謝いたしますわ」
殿下や私が嫌がっても書類上はまだ婚約者です。パートナーがしたことの責は私にも置かれることになります。
「私の婚約者が皆様に不快な思いをさせてしまい申し訳ありません」
何の罪も犯していない私が、罪を重ねていく愚か者の為に深く頭を下げないといけない。そんな理不尽さに込み上げてくる悔しさと理性とが内で戦っているときでした。
「あれ、リネル様何か悪い事したんですか。もしかして…今まで私にしてきたことを皆さんに説明してたりしました ? 」
「「「え ? 」」」




