第30話
今、目の前に居る者たちは、学園の生徒たちからの信用を無くしてしまったことに気付いていない。
ミスリー殿下の失脚は確実でしょう。ユフィ嬢は王族から外された、何も持たない殿下でもお側にいるとは思えません。
「不可能ではないだろう。自分の手を汚さずに取り巻きどもを動かしたのだろう ! 」
もうお終いですわね。
いくら私とロディエンヌ様で手を尽くそうとしても、殿下一行の悪態に我慢できずに自ら手を出してしまったのでしょう。
私とロディエンヌ様、そしてお話を聞かせてくださっていた令息は、席を立ち教室に戻ることにしました。
言葉を交わさなくとも分かったのです。
これ以上彼らの尻ぬぐいは必要ないと。
「「「失礼いたします」」」
話を無視してサロンを退室した私たちの背に向け、何かしらわめいていたのですが、閉められた扉に遮られ聞こえなくなりました。
三人で静かな廊下を無言で歩きますが、私と同じくお二人もどっと疲れが出た様子でした。
ロディエンヌ様が重い口を開きます。
「もう救いようがありませんわね」
「元々不愛想な方ですが、あそこまでの方だとは思いませんでしたわ」
ふと令息が足を止めました。
「私は学園に話をし、一度領地へ戻り父と話をしてこようと思います。あのミスリー殿下のご様子だと、この国の将来に不安しかありません」
なんとも力強い瞳でそう話す令息は、キンデンベルク伯爵家のご嫡男ミラウス様です。




