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女侯爵と誰か  作者: 氷村はるか
第一部

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第2話


「あなたの話を信じなかったというよりは、このような事態になることを信じたくありませんでした」


エルフレット様は己に勇気を取り戻す儀式であるかのように、私の手の甲に触れるだけの口付けを落としました。

私の不安が彼にも伝わってしまったのかしら。

純粋なお心の方だものね。

扉に近づくにつれ騒がしさが大きくなり、私の胸の内も固まってくる。


「リセルレット=フォン=ディミトリウス侯爵様。エルフレット=イステリア伯爵様。ご到着です」


扉番をしていた近衛騎士団のお二人が、私たちを見て胸を撫で下ろしたのがわかりました。

広間に集まっている皆様方の視線は一斉にこちらに向けられます。

エルフレット様と共に前へと進むと、広間中央が大きな穴が空いたように人が避けていました。

そこにはエルジリア国第一王子であるミスリー=フォン=エルジリア殿下、側近候補である公爵や侯爵家のご令息のお姿もあります。

こう言っては失礼になるのでしょうか。

貴族とは思えない礼のない見知らぬ少女がミスリー殿下にしがみついています。

お噂に聞く少女のことでしょうか。

彼らは私の姿を目に留めると驚いた顔をしたのよ。それはそうよね。

社交界の場に出席したのはもう何年前になるかしら。




「リセルレット様だわ。変わらずお美しい方ね」

「お体があまり優れないと耳にしていたが」

「それなのに領地運営をなさっているとか。この場にいらして大丈夫かしら、余計にご負担がかかるのでは」


遠巻きにこちらを窺っている方々からのお気遣いのお言葉、ありがとうございます。

ご心配には及びませんわ。

私よりもこの場に居るのがいたたまれなくなってしまった私の妹に心配りをくださいませ。



この小説にたどり着いた方々に感謝いたします。

各話短めのお話にする予定です。




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