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女侯爵と誰か  作者: 氷村はるか
第一部

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第1話 夜会にて

とある女性侯爵家当主の人生。

(今回は570文字程度です)


「久方振りに顔を出させていただこうと思ったのですが」


広間の外にまで聞こえてくる「婚約破棄」という言葉と、その声が目の前に居るであろう人物に、一方的に投げつけられる汚い言葉の数々。

予想通りでしたわね。

実際にこの場所に来るとこれほどまでに精神に影響があるとは思いませんでしたが。


「大丈夫ですか ? やはりお戻りになった方がよろしいのでは」


少々眩暈を覚えふらついてしまった私を支えてくださったのは、このエルジリア国南方領を任されているエルフレット=イステリア伯爵様です。

海辺の領地を治めているからでしょうか。髪は陽光に当たると赤みを帯び肌は自然と日に焼け、元々鍛えられている体格が強みを増したように感じられます。


「失礼いたしました」

「とんでもないことでございます。エスコートさせていただけて嬉しいのですから」


微笑む瞳は優しくあたたかみのある海のようなエメラルドグリーン。この表情に弱いんですの。


「ありがとうございます」

「病み上がりなのですから無理はなさらないでくださいね」


苦しかったのは私の方なのにまるで自分の事のように受け取ってしまわれるのね。


「一緒に来ていただけて本当に感謝しておりますわ。これからなさねばならないことを思うと、一人では辛いのです」


彼は私の手を優しく包むと、広間の扉を険しい目でみました。




読んでいただきありがとうございます。


この作品は小説家になろうとカクヨム両サイトにて投稿しております。

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