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女侯爵と誰か  作者: 氷村はるか
第一部

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第16話



 お姉さまとはとても仲が良く、幼い頃は後についてばかりいました。

大人になった今思うと、なんとも邪魔な妹だったと思います。

それでも邪見にせず遊び相手をしてくれたのですよ。

お茶会でこの話をすると姉妹仲が良いと羨ましがられたものです。


私が六歳くらいの頃でしょうか。

ある日の夕食後両親から大切な話があると言われ、それぞれ各部屋で過ごす時間を共にした時がありました。


「こうして家族が集ったのは久し振りだな」


ディミトリウス家当主でもあり王宮内での仕事もしていた父は、見た目の温厚さに反し厳格な方です。


「私がお手伝いさせていただいているとはいえ、あなたは忙しいのですから」


母は見た目がきつく性格が悪いと思われがちな方ですが、とても優しく穏やかな人柄の方です。

お姉様が隣にいて、目の前に両親が居る光景はとても嬉しいものでした。


「実は、家の今後の事について話ておかなくてはいけなくてね。私の後継についてだ」


まだ働き盛りで健康な父が後継の話をするには早すぎるのではと思っていたのですが、養子を迎えて当主教育をするのならば遅すぎるのかもと考えていました。


「私の後継、次期当主はリセルレットに決めた」

「え。お姉様が」

「リネルは不満かい ? 」

「い、いえ、そうではなく」


慌てる私を母と姉は優しい目で見ていました。


「きっとリネルは男子の養子を連れてくると思ったのでしょう」

「は、はい。男性がなるものだとばかり…」

「ああ、そういうことか。難しいと思って二人には話していなかったのだが、二カ月ほど前に血縁女性にも当主になれるという法が可決されてね。リセルレットの聡明さは見聞きしているから跡を継がせようという話になったんだ」


何だか自分のテリトリーに他人が入り込んでくるような感覚になっていたことに気付き、恥ずかしくて俯いてしまいました。



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