第13話
私は彼らと関わりたくないと、叫びたい心を押しとどめ周囲の方々と同じく礼をします。
このまま私の前を通り過ぎることを願いましたが、それも虚しく足を止められたのがわかりました。
「なんだ、私のエスコートも無しに一人で来たのか。憐れだな」
すべての参加者に届くように、わざとらしく声を張り上げておられます。
それだけで済ませばよろしいものを、止めることなく私に浴びせ続けるのです。
「第一王子であるこの私の婚約者という立場を利用し、弱者に対し酷な言動を行っていたそうではないか ! 」
大きな声を出さなくとも充分に、嫌なほど耳に入っております。
身に覚えがない事を行ったのだろうと責められても、怒りは沸かず呆れしか出てきません。
もうこの方に頭を下げる必要はないでしょう。
本来は王族である殿下から許可がなければ失礼になります。
目の前で醜くも汚い言葉をまくし立てる集団には、敬意など不要と判断しました。
礼を解くのと同時に、参加者の皆様も私に倣い頭を上げます。
宰相閣下ご夫妻ですら礼を解き、奥様は穢らわしいモノを見る目を扇で隠しておられます。
これ以上彼らの信頼を下げるのは得策とは言えないのではないでしょうか。
せめて罵倒することを止めようと声を掛けます。
「殿下」
「言い訳など通用せんぞ。皆よく聞け、第一王子である私、ミスリー=フォン=エルジリアは、悪女であるリネル=ディミトリウス嬢との婚約を破棄することをここに宣言する ! 」
悲しい事ですが、王族に必要な先見さえも失われてしまったのですね。
リネル視点は地の文が多いと思います。
もしかしたら途中で読みやすいように改行を入れる修正を行うかもしれません。
その時は前書きや近況報告などでお知らせします。




