第10話 切っ掛けと始まり
妹のリネル視点に入ります。
今年の王立学園卒業の夜会は全生徒参加することになっています。
毎年のように行われることなのですが、本年度は卒業生に王族の方がいらっしゃるため、力の入れようが違うようです。
私は華やかな会場の中で、沢山の友人に囲まれ談笑をしていました。
声を掛けてくださるのは、三年間の学園生活で私を支えてくださった方々です。
本当に長い三年間でしたわ。
一人のご令嬢が近づいて来ましたので、挨拶をしようと歩を進めたのですが、何やらあったのか複雑な表情をしております。
「ごきげんよう、イェネット様」
「……ごきげんよう、リネル様」
彼女は男爵家のご令嬢ですが、身分がそれ以上だと思われるほどに、礼儀正しく気品の溢れるお方です。
「イェネット様、本日のお召し物とても素敵ですわ。お美しい黒髪はまとめ上げていらっしゃるのですね」
「ありがとうございます。……あの、リネル様。本日はどなたのエスコートで会場へいらっしゃったのでしょう」
訊きづらそうに問うてくるのも仕方ありません。
夜会や舞踏会は婚約者がいなければ男性家族や親族がエスコートをし、婚約者がいれば婚約者様にエスコートしていただくものです。
「こうなることは予想しておりましたから」
「会場の皆さんも私と同じく、彼らには呆れておりますわ」
いつもありがとうございます。
本日から妹中心のお話になります。
ストックがないのでどのくらいの長さになるかは不明です。




