黒猫エドワード。バーチャル猫の肝試ししてみる。
漆黒の墓標と踊る尾火
『フルダイブ・バルブ』の冷却ファンが静かに唸りを上げ、後頭部に心地よい微振動を伝える。
視界を覆う暗闇のなかで、青白い文字群が空中を浮遊していた。ログインシークエンスの完了を示すゲージが100%に達すると、無機質な機械音が脳内に直接響く。
『システムチェック完了。網膜投影、皮膚感覚フィードバック、重力制御、同期率99.8%。ダイバー:中澤エドワード(ナカザワ・エドワード)。セッション設定:個人プライベートワールド【黄泉の國・大霊園】。アバター適用:指定外装【黒猫エドワード】。……フルダイブを開始します』
浮遊感。身体の末端から意識が解けていき、一瞬の無重力状態ののち、ドスンと足裏に重力が戻った。
風の音が聞こえる。 ぬるい、湿り気を帯びた夜風だ。鼻腔をくすぐるのは、線香の煙の残香と、水分を含んだ苔、そして生乾きの土の匂い。
エドワードは目を開けた。
「うお……相変わらずすっげぇリアリティ……」
自分の声を出したつもりだったが、口から漏れたのは喉を鳴らすような深みのある猫の鳴き声だった。
「ニャ、ニャー……じゃなくて、音声設定、音声設定」
あわてて視界の隅のシステムメニューを視線操作し、言語出力を「日本語(通常)」に切り替える。声帯のフィードバックが調整され、人間の言葉が話せるようになった。
視線を落とすと、そこには人間のものではない肢体があった。 艶やかな、漆黒の毛並み。しなやかな四肢の先には、柔らかい肉球。後ろを振り返れば、感情に合せてゆらゆらと揺れる一本の細長い尻尾。 アバター名【黒猫エドワード】。 エドワードがこの『ヴァーチャル・ダイブ』のフリーアセットを改造し、細部まで質感をこだわり抜いたお気に入りの猫型アバターだ。夜目が効くように視覚補正を極限まで高めてあり、暗闇の中でもまるで昼間のように周囲が見渡せる。
今日は八月十五日、お盆の真っ只中だ。 世間の高校生たちは夏休みの宿題に追われたり、海だプールだと青春を謳歌している頃だろう。しかし、インドア派かつ少々捻天性の入ったエドワードにとって、夏の醍醐味といえば「納涼」一択だった。
「やっぱり夏は肝試しだろ。それも、ただ驚かされる側じゃ面白くない。恐怖を演出する側に立ってこそ、真のダイバーって weさ」
エドワードは伸縮自在の爪をカチリと出し入れしながら、満足そうに頷いた。
彼が構築したプライベート空間【黄泉の國・大霊園】は、広大な敷地に数千、数万の墓標が整然と、あるいは無造作に乱立する架空の巨大墓地だ。ゴシック調の洋風墓石から、古びた和式の代々墓、果ては崩れかけの卒塔婆が立ち並ぶ無縁塚まで、あらゆる「死」のアイコンが凝縮されている。
満月が夜空にぽっかりと浮かび、雲の切れ間から青白い光を投げかけている。風が吹き抜けるたび、鬱蒼と茂る樹々がガサガサと音を立て、まるで巨大な怪物の手が蠢いているかのように見えた。
「よーし……NPCの巡回ルートは設定通りだな」
エドワードは低く構え、四本足で地面を蹴った。 猫のアバターは実に快適だ。人間の身体では不可能な跳躍力、音もなく闇を滑るような静寂性。墓石の頂点から別の墓石へと軽やかに跳び移ると、視界が目まぐるしく変化する。
今回の肝試しのプロットはこうだ。 この大霊園に、AIで動作する「肝試しに訪れた小心者の探索者NPC」を数体投入してある。彼らはこの不気味な墓地を懐中電灯ひとつで進んでいく。そしてエドワード演じる「人語を解する謎の黒猫エドワード」が、闇の中から彼らを脅かし、翻弄し、恐怖のどん底に叩き落とす——という、完全なる一人マッチメイキングのホラー・エンターテインメントである。
「お、来た来た」
墓地の入口付近、重厚な鉄門のあたりに二つの光が点灯した。 システムが生成した探索者NPC、名前は「健太」と「大輔」。高校生風のモブキャラクターだ。二人はビクビクとした足取りで、鉄門をくぐり抜けてきた。
「なあ大輔……マジでここ入るのかよ? うわさだと、ここで『喋る黒猫』を見たら二度と現実世界に戻れないとか……」 「へ、へーきだよ健太! ただの都市伝説だって! VRのホラーマップによくある演出だよ!」
(くくく……良いリアクションだ。設定通りのビビリっぷりだな)
墓石の陰に身を潜めたエドワードは、口元をニヤリと歪めた。猫の顔立ちなのであまり表情は変わらないはずだが、VRの表情エミュレータが優秀なため、瞳の細まり方で悪巧みが丸分かりである。
「まずは挨拶代わりと行きますか」
エドワードは尻尾の先をわずかに振動させ、アバターの特殊エフェクトを起動した。 【鬼火生成(小)】。
ポッと、青白い炎が二人の頭上の枝に灯る。揺らめく光が、暗闇の中で浮き彫りになる墓石群を怪しく照らし出した。
「うわあぁぁっ!? な、なんだあれ! 鬼火!?」 「バ、バグじゃないのか!? おい、設定メニューが開かねぇぞ!?」
「開かないのは当たり前だろ、プライベートワールドの権限は俺が握ってるんだからな」とエドワードは心の中で呟き、闇の中からぬっと姿を現した。
月光を背に受け、古びた和型墓石のてっぺんに佇む一匹の黒猫。 その目は妖しく黄金色に輝いている。
「……夜の墓場は、生者の来る場所ではないぞ……」
エドワードは声を低くし、エコーのエフェクトを効かせて吐き捨てた。
ふたりのNPCは悲鳴を上げて抱き合った。 「出、出たぁぁぁっ! 喋る黒猫だぁぁぁっ!」 「ひいぃぃっ! 助けてくれぇっ!」
「ふははは! 逃げ惑え! 我はこの霊園の番人、闇に蠢く黒き影……!」
エドワードは墓石から軽やかに飛び降り、二人の足元をすり抜けるように旋回した。黒い影が高速で四方八方を駆け巡る。視覚フィードバックを調整されたNPCたちは、パニックに陥って懐中電灯を振り回し、お互いにぶつかり合いながら墓地の奥へと逃げていく。
「ハハハ! 最高! 最高に涼しいぜ!」
猫の姿で暗闇を駆け抜ける快感と、演出家としてターゲットを恐怖させるアドレナリン。これぞフルダイブVRだからこそ味わえる最高の夏の娯楽だ。
二人のNPCは完全に方向感覚を失い、さらに不気味な「無縁仏ゾーン」へと迷い込んでいく。 そこは、朽ち果てた木製の卒塔婆が乱立し、地面からは不気味な靄が立ち込め、足元には苔むした地蔵がいくつも転がっているエリアだった。
「よし、第二段階(フェーズ2)だ。次は立体音響とホログラムの複合恐怖体験をお見舞いしてやる……」
エドワードはニヤリと笑い、次の仕掛けを発動させようと管理者メニューを呼び出そうとした。
——その時だった。
『……ゾ……』
耳元で、かすかな声がした。
「ん?」
エドワードは耳をピクピクと動かした。猫のアバターは集音能力が高い。 聞こえたのは、システム音でも、逃げ惑うNPCの悲鳴でもなかった。 それは、乾いた、しわがれ声のような、風の音にも似た不快なノイズだった。
「……気のせいか? サウンドエフェクトの残響?」
エドワードは気にせず、メニューウィンドウを開こうと視線を動かした。 しかし。
画面が開かない。 視界の端にあるはずの『SYSTEM』ログが、ノイズ混じりの赤色に点滅している。
『エラー:ローカルデータとの同期に異常が発生しています。セッションを自動修正中……』
「あれ? バグか?」
エドワードは足を止めた。 周りの空気が、急速に変化していくのが分かった。 ぬるかった夜風が、急激に凍りつくような冷気に変わる。VRヘッドギアを通じて脳に送られてくる温度感覚フィードバックが、設定値の「24度」から一気に「氷点下」近くまで下がっているかのように冷たい。
「おいおい、バルブの温度センサーが故障したか? 寒すぎるぞ……」
身震いすると、漆黒の毛並みがゾクゾクと逆立った。 その時、先ほど逃げて行ったNPCの悲鳴が聞こえてきた。しかし、それは先ほどまでの「演出に怯えるコミカルな悲鳴」ではなかった。
「う、うわああああっ! 離せ! 離してくれぇぇっ!」 「大輔! 大輔えええっ! 足が、足が沈むぅぅっ!」
「……? 何だ、NPCの挙動AIがおかしくなったのか?」
エドワードは嫌な予感を覚えつつ、しなやかな動きで卒塔婆の陰から覗き込んだ。
そこでは、驚くべき光景が広がっていた。
NPCの「大輔」の足元。そこは本来、ただの土のテクスチャが貼られた地面のはずだった。だが今、そこはまるでドロドロとした黒い液体のように変質しており、そこから**無数の白い「手」**が這い伸びていた。 実体を持たないはずのデータで作られたNPCの脚を、その無数の手がしっかりと掴み、じわじわと地底へと引きずり込んでいる。
「な……んだあれ!? 俺、あんなエフェクト読み込んでないぞ!?」
さらに異常なのは「健太」の方だった。 彼は頭を抱えて地面に伏せているのだが、彼の背後に、巨大な「何か」が立ち塞がっていた。
それは、身の丈三メートルはあるかと思われる、黒いボロ切れを纏った人型のような影だった。顔のあるべき場所には穴が空いており、そこからドロッとした赤黒い液体が零れ落ちている。 影が口を開くと、先ほどエドワードが聞いたあの不快なノイズが響き渡った。
『……カ……エ……セ……』
「ひ……っ!」
エドワードは思わず息を呑んだ。 猫の直感が、全身の警報を鳴らしている。 あれはアセットではない。自分が作成したプログラムでも、フリー素材のホラーエフェクトでもない。
『フルダイブ・バルブ』は、脳波を直接スキャンして仮想空間を構築する。ごく稀に、ネットワークの微弱なノイズや、ダイバー自身の潜在意識、あるいはネットの海を漂う壊れたデータ(ゴースト)が融合し、意図しない「バグ存在」を生み出すことがあるという都市伝説を、エドワードは思い出していた。
「やばい……これ、マジの異常事態だ! ログアウト! ログアウト!」
エドワードは慌てて音声コマンドを叫んだ。
「ログアウト! セッション終了!」
しかし、システム音声は返ってこない。視界に赤く巨大な警告ウィンドウが浮かび上がる。
『警告:外部ネットワークからの接続が切断されました。安全装置が作動しません。緊急ログアウトを実行するには、メインサーバーとの同期を再確立してください』
「嘘だろ……!? 閉じ込められた!?」
その瞬間、巨大な影がゆっくりと頭を巡らせた。 顔の穴——赤黒い闇が、じっとエドワード(黒猫)の方を向いた。
『……ミ……ツ……ケ……タ……』
「ヒッ……!」
影が、すっと息を吸うような音を立てた瞬間、その巨体がブレた。 次の瞬間、影はエドワードの目の前に移動していた。速すぎる。空間をスキップしたかのようなワープだ。
ドス、と重い圧迫感がエドワードを襲う。 VRの安全装置が効いているはずなのに、喉が詰まるような本物の「死の恐怖」が脳を支配した。
「くっ……!」
エドワードは猫の超人的な反射神経で、咄嗟に横へ跳んだ。 直後、エドワードがさっきまでいた場所の墓石が、まるで豆腐のように粉々に砕け散った。衝撃波で黒い毛並みが激しく煽られる。
(ダメージフィードバックが生きてたら、今の一撃で脳が焼き切れるぞ!!)
冷や汗が全身の毛穴から吹き出す。 恐ろしいことに、NPCのふたりはすでに黒い沼に引きずり込まれ、完全に消滅(消去)されていた。次に消されるのは、間違いなく自分だ。
『……ク……ロ……ネ……コ……』
影はゆっくりと振り向く。その長い腕が、鞭のようにしなってエドワードへ向け振り下ろされた。
「触れられてたまるかよっ!」
エドワードは四肢をフルに使い、墓石から墓石へと一直線に駆け出した。 黒猫の機敏さはダテではない。暗闇を滑るように走り、影の攻撃をギリギリでかわしていく。爪が石を掻く甲高い音が夜の墓地に響く。
だが、追撃を交わしながら跳び移った古びた卒塔婆の陰で、エドワードはハッと息を呑んだ。
影とは別に、半透明の白い靄のような姿をした古い野良幽霊NPC——いや、本物の浮遊霊データか——が、墓石の脇でゆらゆらと佇んでいたのだ。幽霊は影の圧迫感に怯え、ガタガタと震えている。
「おい! 危ないぞ、早く逃げろ!」
エドワードが黒猫の姿のまま叫ぶと、その幽霊は青白い顔をこちらに向けた。 そして、闇の中にぽつんと浮かぶ、光る二つの黄金色の目と、夜の闇に完全に溶け込んだ黒猫エドワードの影のような全身を凝視した。
幽霊はひっ、と短い悲鳴を上げ、巨大な影ではなく、エドワードを指差してガタガタと身を縮こまらせた。
「お、お前……なんだその姿は!? 背景の闇と同化してて、目だけが黄金色に浮いててめちゃくちゃ不気味じゃないか! あっちの化け物も怖いけど……お前が黒いから、お前の方が怖いぞ!?」
「俺の方が怖い!? 今そんなこと言ってる場合かよ! 黒猫なんだから黒くて当たり前だろ!」
思わぬ難癖にエドワードは思わずツッコミを入れたが、幽霊は「うわあぁぁっ! 闇が喋ったぁぁ!」と叫びながら、墓石の底へと消えていってしまった。
(まったく、黒猫の魅力を分かってない奴だな……!)
毒気を抜かれたのも束の間、ガラガラと崩れ落ちる石材の音が背後に迫る。巨大な影が、容赦なく追ってきていた。
(どうする!? ログアウトできない! 攻撃アビリティなんて持ってない! 俺はただの「雰囲気づくりの黒猫」なんだぞ!?)
頭をフル回転させる。 このワールドはエドワードのプライベート空間だ。システムコマンドは効かないが、ワールドの「初期設定」はまだ生きて存在するはずだ。
「このワールドのコンセプトは……『お盆の墓地』だ!」
お盆。 ご先祖様の霊を迎える日。 そして、彼らを導くもの——。
(あそこだ!)
エドワードは視界の先、霊園の中央に位置する巨大な「納骨堂」の広場を目指して全速力で走った。そこには、セッション開始時にエドワードが設置しておいた、ある「小道具」があるはずだった。
「間に合え……間に合えっ!」
背後から冷気が迫る。影の手が、エドワードの長い尻尾の先に触れた。 ズキン! と激しい痛みが脳を走る。ダイブ中の感覚フィードバックが異常値を検知している証拠だ。
「うあああっ!」
エドワードは痛みを無視してジャンプした。 着地したのは、広場の中央に置かれた大きな金属製の火鉢の前。 そこには、乾いた麻のガラ(迎え火・送り火に使う木片)が積み上げられていた。
『……ニ……ゲ……ラ……レ……ヌ……』
追いついた巨大な影が、両手を広げてエドワードを押し潰そうと覆いかぶさってくる。暗闇が視界を埋め尽くす。
「逃げるかよ……! これを喰らいな!」
エドワードは前脚の鋭い爪をカチリと出し、火鉢の横に転がっていた「火打石」を全力で引っ掻いた!
カチッ!
火花が飛ぶ。 同時に、エドワードはアバターの権限が残っている唯一のパラメータ——【環境光源設定】を限界突破の「オーバーロード」へと強制書き換えした!
「燃えろ! 送り火ァァァァッ!!」
ボッ! ガンッ!!
火鉢の中の麻ガラが一瞬で激しく燃え上がり、ただの火ではない、太陽のような眩い白銀の光を解き放った。お盆の霊を導き、送るための炎。それがシステム的な異常光量となって広場全体を照らし出す。
『ガ……アアアアアアアアアアッ!?』
光を浴びた巨大な影が、耳を劈くような悲鳴を上げた。 影の身体が、まるで熱せられた氷のように、猛烈な勢いでドロドロと溶け出していく。光は暗闇のバグデータを浄化するように侵食し、影の巨体を削り取っていく。
『カ……エ……ル……ノ……ダ……』
影は最後に苦悶の声を引きずりながら、炎の光の中に掻き消え、無数の黒い粒子となって夜空へと霧散していった。
静寂が戻った。
パチパチと、火鉢の中で麻ガラが静かに燃える音だけが聞こえる。 暗闇を照らす炎の揺らめきの中で、エドワードは荒い息を吐きながら、ペタンと地面に座り込んだ。猫の姿のまま、胸が激しく上下する。
「はぁ……はぁ……死ぬかと……思った……」
その時、ピロン、と澄んだ電子音が脳内に響いた。
『外部接続が復旧しました。セッションの異常を検知。安全のため、強制ログアウトを実行します。3、2、1……』
視界が白く染まっていく。 エドワードは薄れゆく意識の中で、「もう二度と、一人でこんなリアルな墓地ワールドを作るのはやめよう」と心に強く誓った。
◇
「……んぐっ!」
バイザーを跳ね上げ、エドワードはベッドの上で跳び起きた。
目に入ってきたのは、見慣れた自分の部屋の天井。窓の外からは、リアルな夏の蝉の鳴き声が聞こえてくる。エアコンの風が、汗だくになった首元を冷やしていた。
「生きてる……現実だ……」
自分の手を見る。人間の、5本の指だ。毛皮も肉球もない。 バイザーを外してデスクに置くと、腕の関節をポキポキと鳴らした。冷や汗でTシャツが肌に貼り付いて気持ち悪い。
「あー……怖かった。マジで今年一番の冷や汗かいたわ……」
エドワードは脱力し、そのままベッドに大の字になって寝転がった。 フルダイブのバグ事故なんて、ニュースでしか聞いたことがなかった。まさか自分が当事者になるとは思いもしなかった。
「……まあ、でも」
エドワードは天井を見上げながら、ポツリと呟いた。
「『最高の納涼』には……なったかな」
苦笑いを浮かべ、シャワーを浴びようと立ち上がろうとした、その時だった。
カサッ。
足元で、何かが擦れる音がした。
エドワードは視線の先を落とした。 フローリングの床の上。 彼の足元に、なぜか一筋の黒い猫の毛と、線香の灰が、パラパラと落ちていた。
「…………え?」
部屋の中には、猫など飼っていないはずだった。
窓の外で、ミンミンゼミの声に混ざって、どこか遠くから『ニャー』と、妖しい猫の鳴き声が聞こえた気がした。




