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決戦!黒猫のエドワードVS短足の貴公子

あらすじ

黒猫のエドワードは美少女猫『マシロ』の愛をかけて、

シルバータビーのマンチカン『でんすけ』との決闘に挑む!


「聡太ー! 早く学校行きなさい! なんで朝からそんなドヤ顔で鏡見てんのよ!」


「うるさいな母さん、男には身嗜みってものがあるんだよ!」


中澤聡太(17歳)の朝は、相変わらずお袋の怒号から始まる。

だが、今の俺のメンタルは無敵だ。

なぜなら俺には、あの仮想空間

『ヴァーチャル・ダイブ』で待っている最高の彼女

――フワフワな白猫のラグドール『マシロちゃん』がいるのだから!



昨夜はマシロちゃんが10メートル級に巨大化する大バグに見舞われたが、

俺の情熱的なおでこコツンで見事に解決。

俺とマシロちゃんの絆はもはや盤石――


――のはずだった。


その夜、俺は光の速さで宿題を終わらせ(※半分答えを見た)、


ベッドへダイブした。


「モード設定……『R15以下・まったりアニマル体験』。アバター:黒猫エドワード!」


『ユーザー:中澤聡太。シナプス接続……良好。これよりダイブを開始します』


意識が切り替わり、視界が猫目線へと急降下する。

肉球の感触、つややかな黒毛、長い尻尾。俺は再び、

気高き黒猫『エドワード』としてタワマンの庭園に降り立った。


「マシロちゃ〜ん! 高級カツオ節の缶詰持ってきたよ〜!」


デレデレの顔(猫顔)でいつものテラスへ向かった俺だったが、

目に入ってきた光景にカチーンと凍りついた。


テラスでマシロちゃんと仲良さそうに並び、

高級ミルクをペロペロ舐めている一匹の猫がいたのだ。


シルバータビー(銀と黒の縞模様)の美しい毛並み。

サファイアに負けないエメラルドグリーンの瞳。

そして――驚異的に脚が短い、超絶イケメンなマンチカン!


「あら、エドワード様!」


マシロちゃんが嬉しそうに尻尾を振る。


「……マシロちゃん、そいつは?」


俺が警戒露わに身構えると、

そのシルバータビーのマンチカンは優雅に毛づくろいをしながら、

フッと鼻で笑った。


「初めまして、黒猫くん。僕は『でんすけ』。このタワマンのオーナーの家で飼われている、血統書付きのマンチカンさ」


声が無駄にイケボ(低音ボイス)だ。腹立つ!


「でんすけ様はね、海外のコンテストで優勝したこともある素晴らしい血統の猫なんですのよ」


マシロちゃんが尊敬の眼差しで見つめている。


「フン、足が短い癖に気取りやがって……」


俺が嫉妬全開で呟くと、でんすけはサッと立ち上がった。

短足ゆえに立ち姿が、

完全に「ポメラニアン」みたいでちょっと可愛いのが余計に腹立つ!


「足の長さと気高さは関係ないのさ、黒猫くん。マシロちゃんのような高貴なレディには、僕のような洗練されたパートナーこそがふさわしい。身元不明の野良猫くんは、大人しく路地裏でゴミ箱でも漁っているといい」


「なんだとぉぁぁっ!?」


俺の激怒(嫉妬)メーターが跳ね上がった。



「でんすけ様、エドワード様は私を助けてくださった命の恩人ですわ!」


マシロちゃんがかばってくれるが、でんすけは余裕の笑みを崩さない。


「フッ、マシロちゃん。そんな野性的な怪力しか取り柄がない猫に騙されてはいけないよ。本物の紳士の嗜みというものを見せてあげよう」


でんすけは短足をトコトコと動かし、

テラスに置かれたキャットタワーへ向かった。

そして、その短足からは想像もつかない俊敏さでステップを踏み、

見事な空中回転(猫捻り)を披露しながら最上階へ着地してみせたのだ!


「まあ……! なんて華麗な身のこなしでしょう!」


マシロちゃんが目を輝かせる。


(くっ……! 短足のくせに無駄に運動神経がいいだと……!?)


「どうだい、黒猫くん? 君にこのエレガントな『タワマン・キャットアクション』ができるかい?」


煽ってくるでんすけ。

俺の中の『エドワード黒太子』の血が煮えたぎった。


「言わせておけば……! 短足マンチカンごときが調子に乗りやがって! 俺の漆黒のボディポテンシャルを見せてやる!」


俺はキャットタワーへ飛びかかり、

壁を蹴り、でんすけ以上のスピードで頂上へと駆け上がった。


「ハッ! どうだ!!」


俺とでんすけは、

キャットタワーの頂上でバチバチと視線を交錯させた。


「やるね、黒猫くん」


「お前こそな、短足!」


「誰が短足だ!! 身長(足長)差別はいけないんだぞ!!」


でんすけが初めて取り乱してシャアアッと威嚇してきた。

お前も足短いの気にしてたんかい!


二人(二匹)が互いに前足を上げて「猫パンチ構え」を取った、

まさにその時だった。


(――……ピキピキッ……チリチリチリ……)


本日二度目の不快な電子ノイズが響いた。


(あっ……ヤバい!!)


俺とでんすけの超絶キャットバトル、

そしてマシロちゃんを巡る激しい三角関係(嫉妬と憎悪)の感情波形を検知した

『樹林』の深層プログラム『自我の不測の補完』が、

またしても盛大に勘違いして駆動し始めたのだ!


『警告……ユーザー間の「恋の闘争心」を検出……「決闘試練コロシアム」モードへ移行します』


「だから変なモードに移行するなっつーの!!」


ドゴォォォン!!


タワマンの豪華な庭園が、

一瞬で古びたローマのコロシアム風のバトルアリーナへと変貌した!

周囲の背景はド派手な炎のエフェクトで包まれ、

上空には「EDWARD vs DENSUKE」という謎のゲージが表示されている。


「な、なんですかこれは〜!?」


マシロちゃんが観客席(豪華なソファ)に飛ばされ、目をパチパチさせている。


「な、なんだこの空間は!? 僕の美しいタワマン庭園が!?」


さすがのエリート猫でんすけも、突然のバグ空間に大パニックだ。


そして、コロシアムの中央に、

バグデータが凝縮した

**『巨大なマグロ缶詰型のロボット(テクスチャ崩壊済み)』**が

ドスンと降ってきた!


『双方……愛の強さを証明せよ……試練の敵を倒した者に、マシロちゃんの微笑みが与えられます』


機械音声が虚しく響く。


「なんだあの雑な中ボスはー!?」俺が叫ぶ。


巨大マグロ缶ロボ(体長3メートル)は、

缶のフタをパカパカと開閉させながら、

「シャキーーン!」と鋭いスプーンの腕を振りかざして襲いかかってきた!


「キャー! エドワード様! でんすけ様! お気をつけになって!」


「くっ……! 訳が分からないが、マシロちゃんの前で無様な姿は見せられない!」


でんすけが短足をフル回転させてダッシュした。


「僕の必殺技を受けるがいい! 『短足高速ねこパンチ』!!」


でんすけが素早い連続パンチを叩き込む!

しかし、相手はカチカチの缶詰ロボだ。


パシシシシッ!


「痛っ!! か、硬い! 手首(足首)が持っていかれるぅぅ!?」

短足ゆえのリーチの短さが災いし、

ロボのスプーン腕でベシッと弾き飛ばされてしまった!


「でんすけ様!?」


「だっさ!! でんすけ、お前カッコつけといて一撃で撃沈かよ!」


俺が煽ると、でんすけは地面に転がりながら叫んだ。


「だ、だって硬いんだもん! 短足だからリーチ足りないんだもん!」


開き直った!


巨大マグロ缶ロボは、弾き飛ばされたでんすけに向かって、

重い缶底プレスを繰り出そうと振りかぶった。


「しまっ……逃げられない……!」


短足ゆえに空中での回避ができないでんすけ。


「チッ……手のかかる奴だ!」


俺は『エドワード黒太子』の脚力を全開にし、

でんすけの元へ急滑降!


ズドン!!


ロボのプレス攻撃を、

俺が間一髪ででんすけを抱え込んで横跳び回避!


「ガハッ……! おい短足、無事か!?」


「くっ……黒猫くん……なぜ僕を助けた……? 僕たちは敵同士のはずじゃ……」


でんすけが信じられないといった目で俺を見つめる。


俺はフッと不敵に笑い、漆黒の毛並みを揺らした。


「勘違いするな。マシロちゃんを賭けて戦うのは俺とお前だ。あんな安っぽいバグロボットに邪魔されてたまるかよ!」


「……黒猫くん……」


でんすけのエメラルドグリーンの瞳に、熱い光が宿った。


「ふふ……君は本当に、気高くてカッコいい奴だな。……よし、認めてあげるよ。君は僕のライバルだ!」


でんすけが短足をピシッと伸ばして立ち上がる。


「おい短足、あいつの装甲は硬いが、フタの関節部分のデータは緩い! 俺が奴の注意を引くから、お前は背後から跳べ!」


「了解だ、黒猫くん! 足の短さを活かした低空ダッシュを見せてあげるよ!」


「いくぞ!!」


俺は正面からマグロ缶ロボに向かって突撃した!


「おい缶詰! こっちだ! 高級カツオ節の味はどうしたー!?」


ロボが俺に狙いを定め、スプーン腕を振り下ろす!

俺は間一髪で身をかわし、ロボの頭上に躍り出た。


「肉球連続猫パンチ(みだれひっかき)!!」


バシバシバシッ! とロボの視界を塞ぐ!


「今だ、でんすけ!!」


「任せろー! 足は短くても、志は高いんだぁぁぁ!!」


地面を地擦りするような超低空ダッシュで、

ロボの背後に回り込んだでんすけが、

キャットタワーで鍛えた驚異的な猫捻りジャンプを放った!


「必殺! 『マンチカン・ショートレンジ・ソバット』!!」


ドカァァァン!!


でんすけの短い後ろ足が、

ロボのフタの関節部分にクリティカルヒット!


バシバシバシッ! と派手なエフェクトが発生し、

巨大マグロ缶ロボは

「バグって画面外に吹き飛ぶ」という完璧な格ゲー挙動を見せて破裂した!


コロシアムの背景がガラスのように割れ、

元の平和なタワマン庭園と満月が戻ってきた。


「やった……倒したぞ……!」


地面に着地したでんすけが、ゼァゼァと息を吐いている。


俺はでんすけの元へ歩み寄り、前足を差し出した。


「ナイスキックだったぜ、でんすけ」


「フッ……君のオトリも完璧だったよ、エドワード」


バチン!


黒猫とマンチカンの肉球が、固くハイタッチを交わした。

男(猫)の友情の誕生である。


「エドワード様〜! でんすけ様〜!」


マシロちゃんが駆け寄ってきた。


「お二人とも、とっても素敵でしたわ! 力を合わせて戦う姿、私、感動いたしました!」


マシロちゃんは二匹の前に立つと、にっこりと微笑んだ。


「でんすけ様。助けてくださってありがとうございます。でんすけ様は本当に頼もしくてエレガントな『お友達』ですわ!」


「……えっ、『お友達』……?」


でんすけがショックで耳をペタンと倒した。


そしてマシロちゃんは、

俺の隣にすり寄ってくると、身体をぴったりと預けてきた。


「そしてエドワード様……やっぱり私、エドワード様の一番近くにいる時が、一番幸せですの」


ゴロゴロゴロゴロ……と喉を鳴らすマシロちゃん。


(勝った……!! 俺の完全勝利だぁぁぁ!!)


俺は心の中でガッツポーズを決めた。


横を見ると、でんすけがガックリと短足を折って凹んでいたが、

すぐにフッと笑って起き上がった。


「……負けたよ、エドワード。マシロちゃんのハートは、最初から君のものだったんだね」


「でんすけ……」


「でも諦めたわけじゃないからね! 次は『毛並みコンテスト』で勝負だ!」


「いつでも受けて立ってやるよ、短足!」


二人(二匹)は顔を見合わせ、ニャハハと笑い合った。


『ピピピ……アラーム時刻です。おはようございます、中澤聡太様』


電子音とともに、満月の庭園が薄れていく。


目を開けると、いつもの自室の天井。


頭から『フルダイブ・バルブ』を外す。

今夜も『ヴァーチャル・ダイブ』は熱々だった。


「ふふっ……アツい夜だったな」


俺は制服に着替え、鏡の前でニヤリと笑った。


ライバルが現れても、バグが起きても、俺とマシロちゃんの愛は不滅だ。

そして何より、男(猫)の友情まで手に入ってしまった。


「よーし、今夜はでんすけも交えて、みんなで高級缶詰パーティーだな!」


カバンを叩きつけるように肩にかけ、俺は部屋を飛び出した。

今夜のダイブが、今から楽しみで仕方がない中澤聡太であった。



記載する表現に関して、常識に基づいて気をつけて参りますが、


もしもを考慮して15歳未満閲覧非推奨を設定させて頂きます。


こちらに何か落ち度がございましたら、お知らせ願います。


※短編『S4(エス・フォー)』Scientific Fantasy

※短編ユリン S4 Scientific Fantasy2

先行した2つの作品を読んでいただけますと、

わかりやすい内容になっています。

参考までに気が向いたらご覧ください。


登場人物


〇チェ・ウニョン

天才脳科学者、元高校教師

韓国脳科学会に「性善説でもなく性悪説でもない

『無による無』の論文を出して提唱したが、

女性である事とまだ若い事が遠因となって、

『無による無』は

『成り行き任せの論ずるに値しない学説』として

笑われ、学会を追放されてしまった。

世の中にあがらう事を諦め、

生活の為にソウルの高校にて教師をしていた。

大変な美人だが、脳科学者だけに脳に正直で、

普通の女性よりもほんの少し下品で、

ほんの少しビッチな発言もある。

大韓民国の『国民総教化計画』を阻止すべく、

『水霊』の破壊と『儒林』の消滅をやってのけた。



キム・ソヒョン

アトリエ・ノア会長室室長。

会長佐藤氏志乃の最側近(雑用係とも)

FGS(藤咲化粧品)korea第二営業企画部部長。

総合映像制作会社S.S.I社長ユン・ヒョヌの元恋人。

作家ユン・シウの元恋人。

他者肯定も少なく、

自己肯定も少ないので何かと苦労しがちな女性。

それはチェ・ウニョンの理論『無による無』と通じる素養をもっている。

元恋人のユン・シウは作家なだけに空即是色

(0から創作する )または(何気ない日常がドラマだ)と考える人間なので、

分かり合えるはずがなかったのかも知れない。



参考


※S4(エスフォー)

韓国で開発された超睡眠時学習システム

『Super・Sleep・Studying・Systems』

大韓構想にて国民総教化計画の一環で

表向きは若年世代の教育強化を目指した。


水霊スリョン

韓国で大韓構想を元に開発されたスーパーコンピュータ。

『Super・Sleep・Studying・Systems』の頭脳。


※大韓構想

朝鮮半島の統一を果たした大韓民国が掲げた構想。

「世界で最も優秀で、最も繁栄した国家の構築」


儒林ユリン

水霊スリョンの真の最終目標『全脳化計画』。

世界中のPC・タブレット・スマホを『CPUニューロン』として、

水霊を実体無くして最強であるものとする計画。

シナプスとして

流星群受信メテオラシャワーが用いられた。


樹林ジュリン

北海道ニセコにて佐藤志乃率いる

Juringエンタが開発したスーパーコンピュータ。

日本メーカーのゲーム機(一応、最高グレード)1万5千台を接続して、

30億円投資して完成させた。

ちなみに名前の由来は、数十年前に佐藤志乃が在籍した、

東京シルフィード歌劇団在籍時の舞台名

天翔樹林あまかけじゅりん』が元になっている。

(社名のJuringエンターテイメントも同様)

儒林ユリンと似ているがまったく関係ないネーミングであった。

表向きは『つぎはぎのポンコツ』とされているが、

実際は日本のフラッグシップ富岳と同等以上の性能を発揮し、

消費電力も3分の1となっており、

投下した資本からするとかなりコスパの良い設備である。

国内で騒がれない為に『山奥のポンコツ』と広めている。

冷却に降雪した雪を使用しており、融けてろ過した水は海外に売却してコストダウンしている。


流星群受信メテオラシャワー

Meteor shower signal reception。

米国の富豪が打ち上げた精密な衛星通信網は、

自動帰還するロケットを用い、小型通信衛星を打ち上げるビジネスであったが、

日本のベンチャーがもっと安価に完全使い捨ての格安ロケットにて、

野球の球ほどの通信端末をドラム缶いっぱいに持っていき、

衛星軌道上でぶちまける事によって追い抜いた。

死角無しの衛星通信網である。

無計画に端末をぶちまく為、高頻度で大気圏に落下し、

流れ星が大量にみられる理由から、流星群受信と言われるようになった。

極めて大雑把で安価なベンチャービジネスで構築した、

地球全土を覆う死角なき通信ネットワークのその通信端末は、

現代のスマホが充電スタンドで置くだけで充電できるのと同じ仕組みで、

宇宙に漂う電磁波を表面で吸収し、半永久的に駆動する。



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