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異世界の魔法使いは特殊警察官になりました。  作者: 友人A
5章・夜の蝶は舞い散る
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77日目・息づらい夜

「なんだこの結界っクソかてぇじゃねぇか」


透き通っていながらも厚く張られる結界をアーサーはコンコンと叩いて強度を見ていた。


「これなら剣でも割れねぇ訳に納得がいく」


先ほども破壊を試みようとして剣で一突きしてみたが、ヒビも入らぬほどだった。


「「アーサーっ!!」」


そんな結界の破壊に苦戦しているアーサーの背後から二つの声が聞こえてきた。


「っそが、もう来やがった…」

「すぐさまその結界から離れろ!」

「へっやなこった」


梶原の言うことにふざけながら笑ってそう返した。


「なんで、こんなことするんですか…?」

「…は?」


そんなエリスの一言にアーサーは異様なほどに反応し、睨みつけた。


「何度も言ってんだろうが、俺は死んだ家族もまた会いたいからだ…」

「尚更わからないです」

「おいっエリス、あまり挑発するようなことはっ」


あまりにも喧嘩口調なエリスを梶原が止めようとはするが、2人は互いに睨み合っており、まるで間に稲妻が走っているようだった。


「わかんねー訳がねぇだろ、お前は家族を失ったことがないから知らねぇだけで…」

「いえ、両親はどちらも亡くしてます

小さい頃だったからよく覚えてはないのに、

マリアお姉ちゃんは両親を蘇らすために貴方と手を組んでいたらしいですけど」


淡々とそんなことを言うエリスに驚愕したアーサーは思い出したかのような顔で言った。


「あぁそう言えばマリアが弟子の両親殺したっつってたな…アイツ弟子に絆されたのか」

「っ今のはお姉ちゃんへの侮辱ですか」

「嫌、単に馬鹿だなと思って」


そんな侮辱と変わらないようなアーサーの発言にエリスはギュっと手を握るが、怒りでうまく声が出なかった。


「お前こそ、単なるそれは自己満だろう」

「はぁ?」


そんなエリスの様子を見てか、梶原が2人の会話の中に突然として入ってきた。


「俺は家族を亡くしたことがない、だがお前の家族は勇者としているお前を愛していたんじゃないのか?第一に家族が願っていると思っているのか?」

「…っるさい…」


面食らっているアーサーを見て、悲しくなるのは何年何百年経っても変わらないアーサーの姿を見てだろう。

梶原だって何年も自分の人生を棒に振るって復讐でもなくこんなことをするのはおかしいと思っている。


「会いたいという気持ちはわかる、これが綺麗事だと言うこともわかる、だが何よりお前がこれから殺す人にも家族があるんだよ」

「そんなこと知ったこっちゃっ」

「この世界に来た自分の姿を見たことがあるか?」


「…え?」と小さな言葉をこぼしてアーサーは自分の腕、服、体を見てみた。


「そうじゃない、今、お前は家族を殺したその奴と同じになってる」


アーサーは反抗だって否定だってしたいのにも関わらず声が出てこない、自分の心の奥底が、体が、それを正しいと言っている、そう感じた。


「…だ、……い、いやだ、嫌だ嫌だ嫌だ」


自分がこの世で一番に嫌悪するものに自分がなっていたということに気がついた時、それは最も人間が崩壊する時なのだとアーサーは感じてしまった。


「目を覚ませっ!!アーサー・ディオルド!」 


その瞬間にアーサーの頭の中で何かが剥がれ落ちた気がした、とても軽いが寂しいくてたまらない。


―ずっと大好きだから、貴方が大悪党になったら話は別だけどね、


(いつの記憶だ…?エリザ……)


水の中で息がうまく続かない、いつから自分はこんな息のしづらい世界で生きていたのだと感じた。


水中ではうまく周りの音が聞こえない、けれどそれだけははっきりと聞こえてきたのだ。


そんなことをふざけながらも言うアーサーの妻エリザもこの時はこんな悪党になるとは到底思っていなかっただろう、と思った。


(ごめん、エリザティナ…)


溺れていくように息がしづらくなっていく、そんな中でも、しっかりと聞こえてくる光はあった。


―大丈夫、大好きだから


こんなこと自分が作り出した妄想、自分のこうだったら良いという願望、それなのにとても完成度が高いのは気のせいなのだろうとアーサーは自分に言い聞かせた。


(俺も、俺もだから、最後でいいから、会いたかった………)


それでもこんなことを言ってしまうのは、夢の中でのエリザが優しすぎるせいだろうと、静かに目を閉じた。


アーサーの「っそが、」は「クソが」です

後、実際には溺れてませんよ

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