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『戦火の絶えぬモクモク王国で、暗殺稼業の成り上がり貴族の長男に転生した(※生まれながらの裏切り者)について』  作者: 凪塩 未来


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第6話:闇の組織の影と、父子の密談

第6話をご覧いただきありがとうございます!


王宮の夜会で謎の刺客を退けた空。しかし、背後でうごめく「巨大な闇の組織」の存在は、もはや一家族だけで対処できる範疇を超えつつありました。

今回は、一族の根城に戻った空と父が交わす緊密な密談、そして組織に対抗するための新たな一手を描きます。


神に禁じられた暗殺術を極める少年の物語、今回もぜひお楽しみください!

ブックマークや評価での応援も、よろしくお願いいたします!

王宮での華やかな夜会が終わり、招待客たちが帰路につく頃には、首都全体が深い夜の静寂に包まれていた。

だが、連才家の豪邸の地下深くにある石造りの部屋では、微かに灯された魔導灯の光が冷たい壁を照らし出していた。


「――王宮のテラスで、か」


低い、しかし底知れぬ重みを含んだ声が響いた。

現当主であり、空の父親である男が、机の上に置かれた刺客の残した特殊な短剣を見つめながら呟いた。その表情には、これまでの余裕はなく、鋭い警戒の色が浮かんでいた。


「はい。バルトロ伯爵のくだらない揺さぶりの裏で、完全に訓練されたプロの殺し屋が侵入していました」

空は淡々と、夜会で起きた一件を報告した。

「自決用の毒を仕込んでいたところを見ると、単なる個人や国内の反対派の雇われではない。大陸全土の裏社会にネットワークを持つ、組織的な連中ですね」


父親は短剣を手に取り、その柄に刻まれた微細な紋様を指でなぞった。

「間違いない。これは『黒曜の巣(オプス・コクシヌム)』と呼ばれる、忌まわしい暗殺ギルドの刻印だ」

「黒曜の巣……?」

「そうだ。かつて、世界を創った神の教えを無視し、国家すらをも影から支配しようとして幾度も表舞台から粛清されてきた、歴史の暗部に巣食う最大の組織だ。我が連才家がモクモク王国の依頼を受けて要人たちを刈り取るたびに、奴らの利権や計画が狂わされてきた。だからこそ、奴らは我が家の存在を昔から疎んじていた」


父親の言葉に、空は納得のいかない点を一つずつ整理した。

これまでは隣国ごとの単発的な依頼や防衛戦だと思っていたが、その根底には、もっと巨大な「世界規模の裏社会の秩序」と、神の禁忌を巡る大きな抗争が絡み合っていたのだ。


「つまり、我が家はモクモク王国を守る盾であると同時に、あの組織にとっては最大の障害というわけですね」

「そういうことだ。これまでは互いに干渉し合わない影の不文律があったが……どうやら奴らも、我が家がこれ以上勢力を広げるのを放置できなくなったらしい。王宮の内部にまで手先を潜り込ませていた以上、次は我が家の根城そのものを狙ってくる可能性が高い」


部屋の空気が一気に張り詰めた。

一般の貴族であれば、暗殺ギルドに狙われたと聞いただけで恐怖に震え上がり、夜も眠れなくなるだろう。しかし、連才家の血を引く父子にとって、それは「どちらが先に相手の喉元を掻き切るか」という単純な殺し合いのルールに過ぎなかった。


「父上、どうしますか? 守りを固めて連中の襲撃を待ちますか?」

空が問うと、父親は不敵な笑みを浮かべた。

揺るぎない自信と、狂気的なまでの冷徹さがその顔に滲み出している。


「守りだと? 我々連才家が、防戦一方に回った歴史など一度たりともない。奴らが我が家を狙うというのなら、その前にこちらから連中のアジトを突き止め、根城ごと消し去るまでだ」

「――さすがは父上。僕も同意見です」


空の口元にも、微かな笑みが浮かんだ。

防衛という受け身の姿勢は、空の好みではなかった。相手が自分たちを標的に定めたのであれば、その首謀者を先回りして沈黙させ、すべてを掌握する方が圧倒的に合理的だった。


「だが、『黒曜の巣』の本拠地は容易には割れん。大陸のあちこちに分枝を持ち、幾重もの偽りの情報で隠蔽されている。奴らの尻尾を掴むためには、王宮の一件で死んだ刺客の遺品や、夜会に残されたわずかな魔力の残響を辿る必要がある」

父親はそう言うと、空の肩に重く温かい手を置いた。


「この調査、空。お前に任せてもいいか?」

「お任せください。数日以内に、連中の拠点の位置をすべて洗い出してみせます」


「頼もしいな。お前はまだ十二歳だが、その冷徹な判断力と『業』の深さは、すでに歴代の当主をも凌駕している。……だが、過信するなよ。相手も死の専門家だ」

「分かっています。油断ではなく、確実な死を相手に届けるだけです」


密談を終えた空は、深夜の自室へと戻っていた。

窓を開けると、冷たい夜風が吹き込み、部屋のカーテンを揺らす。空は机の前に座り、刺客から回収した魔導石の断片と、王宮で採取した気配の痕跡を目の前に並べた。


(『黒曜の巣』か……。神に禁じられた暗殺術を極める者たちの集まりが、僕たちの邪魔をするというのなら)


空は魔導石に自らの黒い魔力をゆっくりと流し込んだ。

通常の魔導師であれば、他人の魔力の残響を辿るなど不可能なほど微弱なものだったが、空の持つ特異な「黒い魔力」は、あらゆる物質や呪いの痕跡を磁石のように引き寄せ、正確な位置を割り出すことができる。


魔導石の表面が、微かに黒く発光し始めた。

光の粒子が糸のように伸び、首都の地図の特定の一点へと吸い込まれていく。


(……見つけた)


首都の地下、かつて廃坑となった古い下水道の網の目が交差する一角に、不自然な魔力の淀みがあった。表向きの治安維持組織すら足を踏み入れない、完全な暗部の空間。そこに、『黒曜の巣』の国内におけるアジトが存在していた。


空は地図からそっと手を離し、椅子の背もたれにもたれかかった。

外の空はまだ暗く、夜明けまではまだ時間がある。


(明日、だ。夜の帳が下りる頃に、その巣ごとすべてを刈り取りに行こう)


神の禁忌を背負う少年は、静かに目を閉じた。

光ある王都の真下で、影の貴公子による完全なる粛清の夜が、着実に近づいていた。

第6話をお読みいただき、ありがとうございました!


謎の刺客の正体が大陸最大の暗殺ギルド『黒曜の巣』であることが判明し、父子の間で迎撃ではなく先制攻撃の作戦が下されました。

空の特殊な魔力によって早くも敵のアジトを突き止めた主人公。次回、いよいよ闇の組織のアジトへ単身(あるいは父と共に)潜入し、圧倒的な力を見せつける展開が始まります!

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