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『戦火の絶えぬモクモク王国で、暗殺稼業の成り上がり貴族の長男に転生した(※生まれながらの裏切り者)について』  作者: 凪塩 未来


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シーズン3:第3話:地下深淵の侵入者たち

『戦火の絶えぬモクモク王国で、暗殺稼業の成り上がり貴族の長男に転生した』第3シーズン第3話をご覧いただきありがとうございます!


セレスティアから帝国の強硬派による「禁忌の魔導炉心」暴走計画のデータを手に入れた主人公・空。

スズメスズメ帝国から送り込まれた極秘の潜入工作員たちは、すでにモクモク王国の地下深くへと忍び込んでいて――!?


緊迫の地下潜入と影の貴公子の迎撃を描く第3話、今回もぜひお楽しみください!

ブックマークや評価での応援も、よろしくお願いいたします!

モクモク王国の首都、そのさらに下層に広がる「旧王立地下水路」の最深部。

かつて反逆貴族たちの残党を綺麗に掃除したはずのその場所は、今夜、再び不気味で冷たい緊張感に包まれていた。


湿った石壁に染み込む魔導瘴気の向こう側から、足音を完全に消した複数の影が音もなく忍び寄ってくる。

彼らはスズメスズメ帝国の最高元老院が誇る極秘潜入工作部隊――「影喰らい(シャドウ・イーター)」の精鋭たちであった。全身を漆黒の潜伏服に包み、顔には異形の仮面を装着した彼らは、一般の兵士とは比べ物にならないほど高度な隠密魔術を纏っている。


「……周囲の警戒網に引っかかっていないな?」

部隊のリーダー格の男が、手元の魔導探知機を確認しながら低い声で仲間に告げた。

「情報通り、モクモク王国の警備は連才家の粛清以降、むしろ手薄になっている。王国の中枢も、我が国がこの地下から『禁忌の魔導炉心』の起動コードを使い、世界をひっくり返すなどとは夢にも思っていまい」


「フッ、愚かなことだ。あのガキ貴族がどれだけ国内で威張っていようとも、帝国の古代魔術の足元にも及ばぬわ」

別の工作員が冷笑を浮かべ、目的地である地下最深部の「封印の扉」へと急ぎ足で進んだ。


彼らは知らなかった。

自分たちのすべての動き、潜入ルート、さらには使用する起動コードのデータに至るまで、すでにスズメスズメ帝国の天才研究員セレスティアの手によって、我が家の影の支配者である連才空に完全に筒抜けになっていたということを。


地下最深部、巨大な古代の魔導封印が施された扉の広間。

そこに到達した工作部隊のリーダーは、目の前の光景を見て思わず足をピタリと止めた。


「……なんだ、あれは?」


広間の中央。

不気味に青く発光する魔導陣の前に、一人の少年がポツンと立っていた。

漆黒の外套をまとい、黒髪の隙間から覗く冷ややかな瞳は、まるで最初から自分たちがここにやって来るのを分かっていたかのように、静かに彼らを見据えていた。


「き、貴様は……! 連才家の長男、空……っ!?」

リーダーの男は、背筋に凍りつくような悪寒を感じながら、思わず後じさりかけた。

「なぜ、お前がここにいる! 我々の潜入計画は完全に極秘裏に進められていたはずだぞ!」


私は手元に持っていたセレスティアからの魔導水晶を指先で軽く弾き、クスリと冷たく笑った。

「極秘、ねえ。君たちスズメスズメ帝国の狂犬どもが考える『極秘』というのは、僕の手元の執筆机にまでご丁寧に報告書が届くほど、随分とオープンなものらしいね」


「なっ……! まさか、内部に裏切り者が……!」

「裏切り者というよりは、君たちの上層部があまりにも愚かすぎて、同じ帝国の中からも愛想を尽かされていると言ったほうが正しいかな」


私はゆっくりと一歩ずつ、彼らのほうへと歩みを進めた。

私の足音が石畳に響くたびに、周囲の空気が重く、冷たく凍りついていくのを感じ取ったのだろう。工作員たちは一斉に腰の魔導短剣や呪詛の銃を構え、全身を戦闘態勢へと移行させた。


「逃げ道はないぞ、ガキめ! 我々は帝国の至宝をこの手に掴むためなら、命を捨てることも惜しまない!」

リーダーの男が絶叫すると同時に、五十名の「影喰らい」部隊が一斉に動き出した。


彼らの動きは確かに素早く、通常の暗殺者であれば一瞬で首を刎ねられていただろう。空間の魔力を歪め、あらゆる光を吸収しながら、死角からの同時多発的な奇襲を仕掛けてくる。


だが――。


「……速度も、殺意の質も、前回のアワアワ迷宮都市で相手にした連中と大して変わらないね」


私はあえて足を止め、右手をわずかに持ち上げた。

瞬間、私の身体の周囲を巡る「黒い魔力」が漆黒の津波のように爆発的に広がり、地下広間全体の空間を丸ごと押し潰すような圧倒的な重力のドームへと変化した。


ドォンッ!! と、古代の石壁が激しく震え、天井から大量の土砂が崩れ落ちる。


「がっ……!? ぐ……あ……ッ!?」

襲いかかってきた工作員たちは、空中で突見えない巨人の手で押し潰されたかのように、一斉に勢いを失って硬い床へと叩きつけられた。彼らの身体に仕込まれていた高度な隠密魔術や魔導回路は、私の放った圧倒的な死の魔力の前に一瞬でショートし、次々と光を失っていく。


わずか数秒。

先ほどまで気炎を上げていた帝国の精鋭潜入部隊は、誰一人として立ち上がることができず、冷たい床に這いつくばったまま意識を失っていた。


私は足元のリーダーの男の前に立ち寄り、冷ややかな瞳でその仮面を軽く蹴り飛ばした。

「我が家の地下室を勝手に運動会に使おうなんて、いい度胸をしているじゃないか。……さて、君たちの後ろにいる元老院のお偉方にも、我が家の『お礼』をそろそろ届けてあげないとね」


地下最深部の青白い魔導陣の光を背に、私は静かに次の計画を巡らせ始めるのだった。

第3シーズン・第3話をお読みいただき、ありがとうございました!


モクモク王国の地下深くへ潜入してきたスズメスズメ帝国の精鋭工作部隊「影喰らい」。しかし、事前に情報を得ていた空の圧倒的な魔力の前に、瞬く間に全員が叩きのめされてしまいました!

次回、捕らえた工作員たちから得た情報を手に、空がいよいよスズメスズメ帝国への反撃へと動き出します!

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