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『戦火の絶えぬモクモク王国で、暗殺稼業の成り上がり貴族の長男に転生した(※生まれながらの裏切り者)について』  作者: 凪塩 未来


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シーズン3:第2話:夜の密会と、明かされる狂気

『戦火の絶えぬモクモク王国で、暗殺稼業の成り上がり貴族の長男に転生した』第3シーズン第2話をご覧いただきありがとうございます!


セレスティアからの緊急書簡を受け取り、スズメスズメ帝国の強硬派が企む「禁忌の魔導炉心」を利用した恐るべき計画を知った主人公・空。

彼女との秘密の密会のため、再び中立地帯へと向かった空を待ち受ける新たな影とは――?


緊迫の密会と知略が交差する第2話、今回もぜひお楽しみください!

ブックマークや評価での応援も、よろしくお願いいたします!

モクモク王国の首都をあとにしてから数日。

私は側近を連れず、単身で再び中立地帯「アワアワ迷宮都市」の外れにある、古い廃教会へと足を運んでいた。


都市全体を包み込む魔導の泡や湯気は夜の闇に溶け込み、周囲には不気味なほどの静寂が漂っている。

セレスティアからの密会の指定場所は、この教会の地下聖堂だった。教会の重い木の扉を静かに押し開けると、足元で古びた床板がギクリと音を立てる。


「……遅かったですね、連才空様」


薄暗い地下聖堂の祭壇の前。

そこには、深紅の魔導ローブを身にまとったセレスティアが一人で立っていた。彼女の顔には、前回の余裕ある表情とは打って変わり、明らかな焦燥感と疲労の色が浮かび上がっていた。


私は冷ややかな黒髪の隙間から彼女を見据えながら、足音を立てずに近づいた。

「ごめんごめん。我が家の執筆スケジュールと、王国内部の雑務を片付けていたら少し時間がかかってしまったのさ。……で、そんなに青い顔をして、いったい何があったのかい?」


セレスティアは周囲を警戒するように一度振り返ると、懐から分厚い魔導書と一枚の暗号化された水晶を取り出してテーブルの上に置いた。


「時間がありません。我がスズメスズメ帝国の『最高元老院』の過激派たちが、私の予想を遥かに超えるスピードで計画を実効に移し始めました」

セレスティアの声はわずかに震えていた。


「彼らは、モクモク王国の地下深くに眠る『禁忌の魔導炉心』の起動コードを、古い歴史文書の解析からすでに割り出しているのよ。そして、王国が気づかないうちに、現地に極秘の潜入工作員を送り込み、地下深部から直接炉心を暴走させようとしているわ」


私は腕を組み、冷ややかに首を傾げた。

「暴走させたらどうなるの? 以前、君は『異界の神々を呼び戻す召喚の核』だと言っていたけれど」


「最悪の結果よ」セレスティアは真剣な瞳で私をまっすぐ見つめた。「炉心が完全に暴走すれば、空間の裂け目が生じ、この世界とは異なる次元の化け物――旧き異界の眷属たちが地上にあふれ出すことになるわ。帝国の上層部は何のバカか、その眷属たちの力を制御して世界を征服できると本気で信じているのよ。狂っているとしか言いようがないわ」


「なるほどねえ」

私は小さく息を吐き、クスリと冷たく笑った。

「人間の欲深さが世界を滅ぼすというのは、フィクションの小説の中だけだと思っていたけれど、現実の世界でも同じような馬鹿者がいるものだね。……自分の足元が消え去ることも分からないなんて、脳みそまで筋肉でできているマケマケ皇国の連中より質が悪いかもしれない」


「笑い事ではありません! このままでは、モクモク王国にあるあなたの実家も、私たちの帝国も、すべてが跡形もなく消し飛ぶのよ!」


セレスティアの焦燥しきった様子をよそに、私はポケットに手を突っ込み、どこか余裕のある足取りで聖堂の中を少し歩いた。


「怒るなよ、セレスティア。僕がこうしてわざわざ迷宮都市まで足を運んだのは、その馬鹿者たちの首を綺麗に切り落としてあげるためさ」


私の言葉に、セレスティアはハッと息を呑んだ。

「……どういうことですか?」


「簡単さ。帝国の上層部が極秘裏に送り込んできたという潜入工作員たち……彼らは今、どこにいるい?」

「……おそらく、すでにモクモク王国の国境を越え、王都の地下水路周辺に潜伏しているはずです」


「なるほどね。つまり、彼らは僕が前回綺麗に掃除したはずの地下水路の隙間を縫って、再び我が家の足元に火をつけようとしているというわけだ」

私は冷ややかな瞳の奥に、鋭い殺気を灯した。


「わざわざ遠くから我が家の庭にゴミを捨てに来てくれるというのなら、歓迎してあげるのが礼儀というものさ。セレスティア、君はその工作員たちの正確な潜入ルートと、帝国側が使っている起動コードのデータを僕に渡しなさい」


「……分かりました。データはすべてこの魔導水晶に入っています」

セレスティアは迷うことなく、テーブルの上の水晶を私に差し出した。


「よろしい。それじゃあ、僕はそろそろモクモク王国へ戻るとしようか」

私は水晶を受け取り、懐にしまった。


「待ってください、空様! 相手は帝国の精鋭中の精鋭、禁忌の魔術を極めた者たちです。あなた一人で――」

「一人で十分さ」


私は振り返り、冷たく微笑んだ。

「我が家の敷居をまたぐ害虫どもを綺麗に掃除するのに、大軍なんて必要ないからね。……さて、帝国のお偉方には、我が家の怒りをたっぷりと教えてあげないとね」


漆黒の外套を翻し、私は夜の地下聖堂をあとにするのだった。

第3シーズン・第2話をお読みいただき、ありがとうございました!


セレスティアとの密会により、スズメスズメ帝国の強硬派が「禁忌の魔導炉心」を暴走させようとしている恐るべき計画を知った主人公・空。帝国の潜入工作員を迎撃するため、再びモクモク王国へと急ぐ空の次なる一とは――?

次回、王国へ侵入した帝国工作員たちとの激突が描かれます!

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