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『戦火の絶えぬモクモク王国で、暗殺稼業の成り上がり貴族の長男に転生した(※生まれながらの裏切り者)について』  作者: 凪塩 未来


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シーズン2:第9話:帰路の特製馬車と、新たな不穏な影

『戦火の絶えぬモクモク王国で、暗殺稼業の成り上がり貴族の長男に転生した』第2シーズン第9話をご覧いただきありがとうございます!


スズメスズメ帝国の天才研究員セレスティアと秘密の同盟を結び、アワアワ迷宮都市でのすべての騒動を完璧に掌握した主人公・空。

いよいよ迷宮都市をあとにし、モクモク王国への帰路につく彼の前に、新たな影が忍び寄って……!?


帰路の道中と新たな波乱を描く第9話、今回もぜひお楽しみください!

ブックマークや評価での応援も、よろしくお願いいたします!

白亜の壁に囲まれた中立地帯「アワアワ迷宮都市」を背にし、我が家の特製馬車は荒涼とした国境沿いの街道を再び走り出していた。


「若君、セレスティアとの秘密同盟、本当に信用してもよろしいのでしょうか?」

向かい側の席に座る側近の影が、手元の魔導通信機を確認しながら、どこか慎重な口調で尋ねた。


「信用するかどうかと言われれば、もちろん半々さ」

私は馬車のふかふとしたクッションにもたれかかり、手元の執筆用ノートに新しいプロットを書き込みながら冷ややかに笑った。

「あの子の目的はあくまで『古代の禁忌の魔導炉心に関する研究』と『世界の崩壊を防ぐこと』だ。その利害関係が今のところ僕たちと一致しているから手札として残しているけれど、少しでも変な動きをすれば、いつでも容赦なく切り捨てるさ。心配要らないよ」


「流石です。すでにスズメスズメ帝国国内の情報網にも、彼女の動向を監視する影を潜ませております」

「うん、それでいいさ。さて……これで今回の出張の目的はすべて完了したわけだし、王都に戻ったら溜まっているウェブ小説の更新を急がないとね。読者からの『次の更新はまだか』という圧力が最近すごいからね」


世界を揺るがす国際会議の裏で大国を脅しつけ、不平等条約を締結させ、さらには敵国の天才研究員を味方に引き込んだというのに、当の本人の頭の中は次回の執筆スケジュールでいっぱいだった。


――その時。


馬車の外の空気が、行きに経験した時よりも一段と鋭く、そして冷たく張り詰めた。

御者台で馬を操っていた護衛が、ピタリと手綱を引き絞って馬車を急停止させる。


「……若君、前方の街道の空気がおかしいです。これは通常の山賊や暗殺者の気配ではありません……!」


馬車の窓から外を覗くと、いつの間にか周囲の森林地帯から、不気味で濃密な「紫色の霧」がモクモクと湧き出していた。

その霧はただの自然現象ではない。触れた草花を瞬時に枯らし、鉄すらも腐食させる猛毒の魔導瘴気だった。


「ほぉ……。アワアワ迷宮都市を出発した直後を狙うとはね」

私はフードの隙間から冷ややかな瞳を外に向け、小さく鼻で笑った。

「ペコペコ帝国やマケマケ皇国の使者たちは僕に恐怖を植え付けられて動けないはず。……となると、この刺客たちは一体誰の差し金だい?」


「気配を探ります……っ! これは……!」

側近が懐から取り出した魔導水晶を覗き込んだ瞬間、青ざめた顔で声を詰まらせた。

「若君、この瘴気の質……周辺諸国のものではありません! 王国内部の……かつて粛清されたはずの『反逆貴族派』の残党、それも最高峰の暗殺人形部隊です!」


ガタガタ、と音を立てて、紫色の霧の中から次々と影が姿を現した。

その数、およそ五十名。しかし、彼らは人間ではない。全身に魔導回路を埋め込まれ、自我を失った代わりに超人的な戦闘力と呪詛の力を得た「人造暗殺人形(ホムンクルス)」の群れだった。


「なるほどね。僕が王都を留守にしている間に、国内の虫けらどもが最後の足掻きとして、外部の勢力と手を組んで僕の命を狙いに来たというわけか」


私はゆっくりと特製馬車の扉を開け、冷たい風が吹き荒れる街道の真ん中に降り立った。


「ギィィィ……ッ!」

機械的な不気味な声を上げながら、五十体の人造暗殺人形が一斉に襲いかかってきた。

その動きは人間離れしており、音もなく空中を跳躍しながら、全身から高密度の呪詛の刃を放ってくる。通常の暗殺ギルドの連中とは比較にならないほどの殺戮兵器だった。


だが――。


「……僕を相手にするには、素材も設計図もあまりにも安っぽすぎるね」


私は一歩も引かず、ただ静かに右手を掲げた。

瞬間、私の身体の周囲を巡る「黒い魔力」が爆発的に膨れ上がり、周囲一帯の空間をまるで底知れぬ深淵の底へと引きずり込むような、圧倒的な重圧のドームへと変化した。


ドォンッ!! と、大地が大きく揺れ動くような凄まじい衝撃波が走り抜ける。


「ガッ……!? グ……ッ……!」


襲いかかってきた五十体の人造暗殺人形たちは、空中で突見えない鉄の壁に激突したかのように、一斉に勢いを失って地面へと叩きつけられた。彼らの身体に埋め込まれていた魔導回路は、私の放った圧倒的な死の魔力の前にショートし、次々とパチパチと火花を散らしながら機能を停止していく。


わずか数秒の出来事だった。

街道の真ん中は、再び静寂を取り戻し、動かなくなった人形たちの残骸だけが無残に転がっていた。


私は冷ややかな瞳で足元の残骸を一瞥し、低く息を吐いた。

「国内の掃除がまだ少し甘かったようようだね。王都に戻ったら、残りの虫けらどもも根絶やしにしておかないといけないらしい」


特製馬車に戻り、再びモクモク王国の首都へ向けて走り出す車中、私は次の執筆ノートを開きながら、静かに次の計画を巡らせ始めるのだった。

第2シーズン・第9話をお読みいただき、ありがとうございました!


アワアワ迷宮都市をあとにして帰路につく空を待ち受けていたのは、王国内部の反逆貴族派が送り込んだ「人造暗殺人形」の群れでした。しかし、圧倒的な魔力で瞬殺してしまう空の無双劇はいかがでしたでしょうか?

次回、いよいよモクモク王国の王都に帰還した空を待ち受ける新たな展開とは――?

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