シーズン2:第4話:皇国の使者と、明かされる陰謀
『戦火の絶えぬモクモク王国で、暗殺稼業の成り上がり貴族の長男に転生した』第2シーズン第4話をご覧いただきありがとうございます!
迎賓館で毒殺の罠を仕掛けたマケマケ皇国の外交特使レイモンドを、圧倒的な魔力で追い詰める主人公・空。
恐怖に震える皇国の使者から、会議の裏に隠された真の陰謀が語られ始めて……!?
緊迫の尋問と影の駆け引きを描く第4話、今回もぜひお楽しみください!
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アワアワ迷宮都市の高級迎賓館の一室。
室内に満ちた禍々しい「黒い魔力」の重圧は、マケマケ皇国の外交特使レイモンドの身体を容赦なく押し潰し続けていた。
「ぐっ……あぁ……! 身体が……溶けるように重い……!」
レイモンドは両手で床をつき、脂汗を流しながら荒い息を吐いていた。先ほどまでの上品な笑みや、外交官としての威厳は見る影もない。ただの命乞いをする小物へと成り下がっていた。
私は冷ややかな瞳で彼の姿を見下ろし、指先をわずかに緩めた。
「さて、レイモンド特使。もう一度聞こうか。我がモクモク王国の代表を毒殺し、会議の場から排除しようとしたのは、君個人の独断かい? それとも、マケマケ皇国の中枢による正式な方針なのかな?」
「ひっ……! 待て……殺さないでくれ……!」
レイモンドは恐怖に引きつった顔を上げ、震える声で叫んだ。
「話す……! 知っていることはすべて話すから、その呪いを解いてくれ……!」
「ふむ、素直でよろしい」
私はソファに腰掛け、足を組みながら冷たく促した。
「我が家に対する歓迎の挨拶としては少し物足りなかったけれど、その後の情報提供次第では、命の代わりに手足の一本くらいは残してあげてもいいよ」
レイモンドは恐怖に震えながらも、命を守るために必死で言葉を絞り出した。
「マケマケ皇国だけではない……! 今回のアワアワ迷宮都市での『次世代魔導炉心の継承権会議』は……表向きの外交交渉などという生易しいものではないのだ!」
「知っているよ。周辺諸国が我がモクモク王国の権益を奪い取るための茶番劇だろう?」
「それだけではない……!」レイモンドは血走り、しかし狂気じみた笑みを浮かべた。
「ペコペコ帝国と我がマケマケ皇国、そしてスズメスズメ帝国の三カ国が水面下で結託している……! 彼らの真の目的は、会議を利用してモクモク王国の代表を『完全失脚』させ、王国内部に眠る古代の『禁忌の魔導炉心』の封印を力尽くで奪い取ることなのだ!」
私の眉間が、わずかに動いた。
(禁忌の魔導炉心――前回のグレアム侯爵の尋問でも出てきた、王都の地下深くに眠る古代の遺物か)
「ほう。我が国が代々影で守り続けてきた封印を、今度は外交と国際世論という名の表舞台を使って剥ぎ取るつもりというわけだね」
「そうだ……! 今回の会議で、モクモク王国が不利な条約に調印せざるを得ない証拠を捏造し、お前たち連才家を『国際的な反逆者』として孤立させる。そうすれば、どの国も文句を言えずにモクモク王国を分割統治できるという算段なのだ!」
「なるほどね」
私はクスリと冷たく笑った。
「相変わらず、権力者たちの考えることは愚かで、かつワンパターンだ。自分たちの力では我が家の防衛網を突破できないからといって、今度は他国と結託して大勢力でリンチを仕掛けようというわけかい」
レイモンドは青ざめた顔で私の様子をうかがい、すがるような目を向けた。
「す、すべて話した……! 約束通り、私を――」
「約束?」
私は首をかしげ、冷ややかに微笑んだ。
「僕は『手足の一本くらいは残してあげてもいい』とは言ったけれど、『助ける』とは一言も言っていないよ」
「なっ……! 貴様、約束が――!」
私が指先を軽く立てた瞬間、レイモンドの胸元から黒い呪詛の魔力が一気に噴き出した。
「がはっ……! は、息が……!」
苦悶の声を上げる間もなく、彼の身体は冷たい闇の魔力に包まれ、そのまま意識を永遠に失って床へと崩れ落ちた。もちろん、迎賓館の防音結界と隠密の魔術によって、外には一切の物音も漏れていない。
側近の影が手際よく室内を片付け、レイモンドの遺体を綺麗に消し去っていく。
私は窓辺に歩み寄り、アワアワ迷宮都市の夜空に浮かぶ怪しげな魔導の泡を眺めながら、低く息を吐いた。
「国際会議を利用して僕たちを嵌め、禁忌の魔導炉心を奪い取る、か」
周辺の帝国や皇国が、総出で私を罠にかけようとしている。普通の人間であれば絶望するような巨大な陰謀だが、私にとってはむしろ好都合だった。
「わざわざ一箇所に集まって、僕を排除するための『舞台』を用意してくれるというのなら……そのすべての野望を、会議の場で盛大に叩き潰してあげるのが礼儀というものだね」
漆黒の外套を翻し、私は冷徹な光を瞳に宿しながら、翌日に迫った国際会議の準備へと取りかかるのだった。
第2シーズン・第4話をお読みいただき、ありがとうございました!
マケマケ皇国の使者から引き出された衝撃の真実。国際会議の裏では、周辺諸国が結託してモクモク王国の「禁忌の魔導炉心」を奪う巨大な陰謀が進行していました!
しかし、主人公・空はその罠を逆手に取り、会議の場で全ての黒幕を返り討ちにする反撃の計画を企てます。




