シーズン2:第1話:嵐の前の平穏と、新たな使者
『戦火の絶えぬモクモク王国で、暗殺稼業の成り上がり貴族の長男に転生した』第2シーズンをご覧いただきありがとうございます!
前作で王国内部の腐敗を根絶やしにし、影の支配者として君臨することになった主人公・空。
平穏な日常(?)に戻るはずが、今度は隣国からの新たな使者、そしてさらなる巨大な陰謀の足音が……!?
新たな章の幕開けとなる第1話、今回もぜひお楽しみください!
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モクモク王国の首都がかつての混乱から立ち直り、表向きの平和を取り戻してから数ヶ月が経っていた。
第一皇子と最高大将軍の失脚、そして国境の連合軍壊滅という大事件を経て、王国の中枢において「連才家」に逆らう者はもはや誰もいなくなっていた。表向きはただの地方貴族でありながら、実質的には王国全体の影の支配者。それが現在の我が家、そして僕――連才空(十二歳)の立場だった。
連才家の広大な屋敷の一室。
午後の柔らかな日差しが差し込む静かな書斎で、僕は机に向かい、溜め息を一つ吐いていた。
「……うーん、筆が進まないね」
目の前には、白い羊皮紙のロールと、愛用の黒インクの羽ペン。
前世からの趣味であり、この世界でも密かに執筆を続けているWEB小説――『異世界転生したら最強の暗殺者だった件について』の最新話の原稿だった。
世間では「王国の英雄」「影の救世主」などと勝手に神格化されている僕だが、実際のところ、面倒な政治闘争が片付いた今、僕が一番やりたいのは部屋にこもって小説を書くことと、のんびりスローライフを送ることだけなのだ。
だが、世間はそれを決して許してくれないらしい。
コツ、コツ、コツ――。
静寂な廊下から、慌ただしくも上品な足音が聞こえてきた。我が家の優秀な側近の影が、ノックもそこそこに扉を開けて入ってくる。
「若君、大変です」
側近は少し息を弾ませながら、一枚の格式高い封書を差し出した。
「王宮から使者が参りました。今度は国王陛下ご自身からの、極秘の勅命書です」
僕は羽ペンをピタリと止め、ゆっくりと顔を上げた。
「国王陛下から? 前回の件で僕たちが王宮の裏を掌握したっていうのに、まだ何か面倒事を持ち込む気かい?」
執務室に通された王宮の使者は、普段の威厳ある官僚ではなく、国王が直接信任する老齢の特使だった。
彼は厳重に施錠された密談室で、周囲に誰もいないことを確認すると、震える手で一通の黒塗りの封筒を差し出した。
「連才の若君……いえ、もはやこの国の真の守護者であられる空様。どうか、この書面をお読みください」
老特使の顔には、ただの政治的な企みではない、本物の恐怖と焦りが色濃く滲んでいた。
僕は封を切り、中に書かれた文字に目を通した。
そこには、予想もしなかった地名と、信じられない内容が記されていた。
——『モクモク王国と隣接する大国、ペコペコ帝国およびマケマケ皇国の中間地点に位置する中立地帯「アワアワ迷宮都市」にて、大陸全土を揺るがす「次世代魔導炉心の継承権会議」が開催される。我が国の代表として、連才空を派遣する』
「アワアワ迷宮都市、か」
僕は紙から視線を外し、冷ややかにクスリと笑った。
「前回の件で、我が国に手出しができなくなったスズメスズメ帝国が今度は表立った外交の場を利用して、中立都市で我が国の利権を丸ごと奪い取るつもりというわけだね」
「その通りでございます……!」老特使は青ざめた顔で頷いた。「今回の会議には、周辺諸国の強大な帝国や、名だたる暗殺ギルド、さらには大陸の裏社会を牛耳る闇の組織までが参戦するとのこと。もし我が国が適切な対応を取らなければ、王国の経済的・魔導的な生命線がすべて奪われてしまいます!」
「ふん。僕たちの国内での権力争いが一段落したと思ったら、今度は外交の舞台で面倒事を仕掛けてくるとはね」
僕は椅子にもたれかかり、冷ややかな黒髪を軽く掻き上げた。
「王宮の連中は、僕を厄介払いしつつ、都合のいい盾として使おうって魂胆かい?」
「め、滅相もございません……! ただ、もはや我が国において、この難局を切り抜けられるのは、空様のお力以外にあり得ないのです……!」
老特使が去った後、静まり返った密談室に、再び父親が姿を現した。
父親は腕を組みながら、私が机に放り投げた勅命書を横目で眺めた。
「どうやら、ゆっくり小説を書いている暇は当分なさそうだな、空」
「まったくです、お父様。平和ボケした大国どもは、懲りるということを知らないらしい」
僕は立ち上がり、漆黒の外套を肩に羽織った。その瞳の奥には、新たな面倒事に対する呆れと、それを一蹴してやるという冷徹な闘志が宿っていた。
「アワアワ迷宮都市。様々な国の思惑や、闇の組織が集まる魔窟か……。そこで僕たちの邪魔をする奴らがいるなら、前回の帝国特務部隊や第一皇子と同じように、綺麗さっぱり掃除してあげるだけさ」
「ああ、頼もしい息子を持ったものだ。くれぐれも、向こうの連中に我が家の恐ろしさを骨の髄まで叩き込んでやってくれ」
新たな章の幕開け。
王国の影の貴公子・連才空は、大陸全土の陰謀が渦巻く中立迷宮都市へと向けて、静かに旅立ちの準備を始めるのだった。
第2シーズン・第1話をお読みいただき、ありがとうございました!
平穏な執筆生活を取り戻したのも束の間、今度は大陸全土を巻き込む「中立迷宮都市での国際会議」という新たな面倒事が主人公・空に舞い込みました!
舞台を王国内部から世界規模へと広げ、影の貴公子がどのような無双劇を見せるのか――? 第2シーズンも全15話で全力でお届けします!




