↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無才の俺の文字化け才能は、勝つたびに名前が変わる ~【諦めない】から始まる、天才百人喰いの成り上がり~  作者: 燈野いさり
第1章 文字化けの一文字目

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
51/100

第51話 神々の浮島

 浮島は、思ったより、静かだった。


 岩の島だ。差し渡し、たぶん二キロ。中央に、白い建物が一つ。


 草も、木も、なかった。ただ、岩と、風と、星。


 ――そして、九十七人。


   ◇


「――九十七?」


 俺は、フィナに聞いた。


「はい」


 彼女は、紙束を数えていた。


「階段で、三人、脱落しました」


「――脱落」


「日没に間に合わなかった者は、資格を失います」


 彼女は、静かに言った。


「――一人は、六万段で足を折りました。二人は、九万段で座り込みました」


「――どうなったんですか」


「――階段が、消えました」


   ◇


 俺は、来た方を振り返った。


 ――何もなかった。


 島の縁は、そのまま、崖だった。


 九万九千九百九十九段の階段は、跡形もなかった。


「――帰れないんですか」


「――会戦が終わるまでは」


 彼女は、あっさり言った。


   ◇


 白い建物は、宿舎だった。


 石造りの、大きな箱。中は、百人分の部屋に区切られている。


 俺の部屋には、番号が書いてあった。


 『七十』


 中は、簡素だった。寝台と、机と、水差し。


 窓から、崖が見えた。


   ◇


 夜、俺は、宿舎の広間に呼ばれた。


 九十七人が、集まっていた。


 中央に、白装束が立っていた。


「――規則を、説明いたします」


 彼は、名簿を掲げた。


「本戦は、明日より、七日間」


「――七日」


「一日一戦。組み合わせは、毎朝、抽選で決まります」


 彼は、言った。


「七日間で、勝ち残った者が、優勝です」


   ◇


「――七戦」


 俺は、指を折った。


 九十七人が、一日一戦。七日。


 ――計算が、合わない。


「――あの」


 俺は、手を挙げた。


 九十七人が、一斉に俺を見た。


「はい、七十席」


「七日で、九十七人が一人になりますか」


「なりません」


 白装束は、あっさり言った。


「――敗者は、脱落しません」


   ◇


 広間が、ざわめいた。


「――どういう意味だ!」


 誰かが、叫んだ。


「敗者は、才牌を勝者に渡します。ですが、候補資格は失いません」


 白装束は、言った。


「翌日も、戦います」


「――才牌がなくても、か!?」


「はい」


 彼は、頷いた。


「――才牌ゼロの者も、七日間、戦い続けます」


   ◇


 俺は、その意味を、飲み込んだ。


 ――七日間、毎日、才能を賭けて戦う。


 負けたら、才能を失う。


 ――でも、抜けられない。


「――優勝の条件は」


 俺は、聞いた。


「七日目の終了時点で、最も多くの才牌を持つ者です」


 白装束は、言った。


「――それだけです」


   ◇


 広間が、静かになった。


 それから、誰かが、笑った。


「――そりゃ、簡単だ」


 声のした方を見た。


 背の高い男が、壁にもたれていた。


 黒い外套。年齢は、三十くらい。


 ――才牌の枚数が、異常だった。


 首から下げているのは、鎧だった。才牌を、鎖で編んで、胸当てにしていた。


   ◇


「――第三席、カイル」


 フィナが、震える声で言った。


「――才牌、推定百二十枚」


「――百二十!?」


「――王族の三倍です」


 カイルは、壁から背を離した。


「七日間、毎日勝てばいい」


 彼は、言った。


「――俺は、そうする」


 彼は、広間を見回した。


「――お前らは、俺の才牌を増やす材料だ」


   ◇


 誰も、言い返さなかった。


 ――言い返せなかった。


 百二十枚。


 この場の誰も、その枚数に届いていない。


「――第三席」


 白装束が、言った。


「一つ、訂正いたします」


「なんだ」


「――一位と二位は、本日、到着しておりません」


   ◇


 カイルの顔が、変わった。


「――なんだと?」


「第一席、第二席は、階段を使っておりません」


 白装束は、あっさり言った。


「――お二方は、明日、直接お越しになります」


「――階段を使わずに、どうやって」


「――規則の管轄外です」


   ◇


 解散のあと、俺は、部屋に戻った。


 フィナが、廊下でついてきた。


「――ロイさん」


「はい」


「――七日、生き残れますか」


「――わからないです」


 俺は、正直に言った。


「――でも」


 俺は、胸元の才牌を出した。


 【不屈】。


 三つ目の升目の黒が、まだ、剥がれかけている。


「――あと三回です」


 俺は、言った。


「三回、あの日と同じことをすれば、全部ほどけます」


   ◇


「――七日あります」


 俺は、言った。


「――三回なら、たぶん、足ります」


 フィナは、しばらく黙っていた。


 それから、彼女は、紙束を抱え直した。


「――明日の朝、抽選です」


「はい」


「――誰と当たっても」


 彼女は、顔を上げた。


「――私が、仕様の穴を見つけます」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。