第九十八審 『猜疑心』
失踪です。
疲れで誤字脱字が酷いです。
「まずい……!!」
向こうが一気に広げた結界に巻き込まれた、そのような芸当も可能なのか……!
横に移動して範囲外に脱出するのは恐らく不可能。間に合わないだろう。
であれば、助かる道はひとつしかないように思える。
地面に倒れたままのそいつを視界の中央に捉えると、数歩助走をつけて一気に速度を上げ、刀を構えて一気に飛び上がった。
同時に、地面からは僕を貫こうと槍のように帯が突き出してくるが、既のところで回避。
正に今、刀を振り下ろそうとする僕はそいつと目が合った。
だがその時、気づけば目の前に迫っていたそれが視界に映り込み、ハッとしてしまう。
そこにあったのは今にも僕を貫こうとする複数本の帯。
ここまで接近されていたというのに、思考に駆られていて全く気づかなかった……!
『かかったな』と言いたげなそいつの表情を確認したのを最後に、僕の視界は真っ赤に染った。
「しまっ─────」
溢れ出た言葉を言い切る間もなく、それらは僕の腹部を貫き、通過し、夥しい量の血が飛び散った。
僕はそのまま地面に落下して転がる。
だが……倒れてなど、いられない。今僕が倒れてしまったら、この役割を果たせる人間が居なくなってしまう。
必死に立ち上がろうと体に指示を出し続ける。
呼吸は……乱れているが、できる。
体に力も入る。
……まだ、動ける。
そもそも、オルタはイザナギの計画を食い止めて何をするつもりなんだ?
イザナギの話を聞くに、今この領土は落下してくる太陽によって危機に晒されている状況。それを何とかするためにあいつは計画を練り、それを実行しようとしているだけだ。
一見すればこちら側にはなんのデメリットもない。なんなら計画された通りに遂行されるべきだ。
これを利用しようと考えているRebellionには、落下してくる太陽から逃れる術があるということなのだろうか。
だとするなら、Rebellionに所属しているオルタがイザナギの計画の妨害を行おうとしていることにも合点が行ってしまう。
ということは、ルナが攫われたことを切り口に、僕らに協力を頼んだことも、全てオルタの、Rebellionの計画通りなのか?
……本人が居ない状況で答えを出すのは早計だ。
今はとにかく、目の前の敵の鎮圧を行うのが最優先事項である。
刀を地面に突き立てて立ち上がると、競り上がってきた血を吐き出す。
口を拭い、再度刀を構えて笑みを繕った。
「さぁ、続けるぞ」
そいつは、恐怖とも困惑とも言えない表情を浮かべていたが、軈て平生を取り戻した。
「そうかい……なら、気が済むまで相手をしてあげるよ……!!」
両者は一気に距離を詰め、再び刃を振り下ろそうとした……が。
その時、地面に何かの影が落ちた。
それに気がついた時、両者の手は止まり、天窓を見上げようとした瞬間に硝子が砕け散る音が響き渡った。
その姿は、明確に見覚えがある。
「あれは……!!」
「漸くか……」
飛び散った硝子片が陽の光を反射し、より周囲が明るく見える中、逆光に照らされる飛び込んできた人間のその姿は僕の記憶の中のとある人物と完全に一致した。
「無事か!ハルサ!!」
叫ぶようなその声とは対極に、僕は静かに呟いた。
「随分遅かったな、オルタ」
お楽しみいただけましたか?
やばい、意識が。
では、また次回。




