第九十六審 『徒花』
失踪です。
大遅刻してしまいました。申し訳ございません。(詳細はX参照)
超急いで書き上げたので拙い文章かもしれませんが、大目に見ていただけると幸いです。少し短めですがどうぞ。
「『葬魂詩』《フューネラル・デザイナー》」
そいつがそう唱えたその瞬間、周囲の空間が水面のように揺れ動いたかと思えば一気に赤みを帯び、光が灯り、丸帯が周辺をふわふわと舞い始めた。
その景色は、正に『和』を感じさせるものだったと言って差し支えないだろう。
あいつはテラスに立ったまま、僕なんて眼中に無いかのように舞い始める。
先程結界術の話をしていたが、一体結界術でどのようにして戦うというのだろうか。
ともかく距離を詰めようと、握っていた刀に再度力を込め、走り出した瞬間に頭の中で誰かの声が反響した。
『ハルサ!止まりな!!』
その声と同時に、僕は足元に明確な違和感を感じる。
反射的に後退して地面に視線を向けると、そこにあったのは直径一米程の範囲に赤い花々が密集している光景。
それを認識したのも束の間、その地面から周囲を漂っていた帯と同じものが複数、地面から針のように突き出てくる。
……なるほど、ギミックが何となく理解出来たような気がした。
これは恐らく、展開した結界内に踏み込んだ場合に発動する術式のようなものが埋め込まれているのだろう。
いや、結界内に踏み込んだ場合と言うより、『花を踏み付けた場合』と言った方が正しいのかもしれない。
見渡してみると、所々に花が咲いている。かなり気をつけて立ち回らないと足元を掬われかねない。
当の本人は、そんな僕には目もくれず、テラスからこちらにも見えるように舞を続けている。
『ハルサ、距離を詰めるんだ。近接戦に持ち込めば君に利がある。この距離では君には為す術がない』
頭の中に直接語りかけてくるルナの声に頷き、紫色の輝きを放ち続ける刀を一度薙いで一気に駆け出した。
あいつの元にたどり着くために、階段を使って行くのはかなり非現実的なような気がする。
遠回りであるのはそうだが、何より何かの仕掛けを踏む確率が上がってしまう。
なら、『近道』をする他ない。
付いた勢いをそのままに、思い切り地面を蹴って飛び上がる。
手すりを切り裂き、テラスに飛び乗って刀を振りかざす。
だが、それは直撃する前に透明な何かに阻まれて動きを止め、火花を散らした。
やはり……結界か。
大方予想は着いていた。一筋縄で行くわけが無い。
いくら掛ける力を強めても、結果は変わらなかった。
「邪魔だよ」
まるで一連の動きであるかのように僕に向かって手のひらを翳すと、突如として衝撃波が生じる。
意図しない事象に、僕は一気に体勢を崩してテラスの外へと放り出された。
問題なく地面を滑って着地するが、その時には既に目の前に周囲を漂っていた帯が、僕を待っていたかのように襲いかかろうと迫っている。
これが結界に踏み込んだ時に発生するものと同じものなら、同じくこれも危険なものなのだろう。
大きく刀を振るって斬撃を打ち出し、一振でそれら全てを切り裂いた。
元よりただの布であったかのように散った帯を横目に、僕は再度刀を振りかざす。
打ち出された斬撃は一直線にそいつの元へ向かっていったが、やはり、防御ではなく回避を選択された。
僕と対面した奴らは、何故かあれを頑なに受け止めたがらない。今回はたまたまかもしれないが、不思議に思っていた点ではある。
それに、今かなり直撃ギリギリの場所を通過した。つまり、一度自分が纏っている結界を解かなければああはならないはずなのだ。
つまり、これはたまたまではなく『最初から受け止める気が無かった』という可能性がかなり濃いような気がするのだが……。
「君はいつまで粘っていられるかな?」
お楽しみいただけましたか?
次回以降も投稿時間が少しブレるかもしれません。
では、また次回。




