第八十四審 『雪の厚化粧』
失踪です。
ビックリするほどPVが伸びなくなりました。何故
『え?』
「赤い聖霊がこっちにいる。僕のところに居たみたいだ」
『やっぱり……ちょっと写真送ってもらっていい?』
「分かった、ちょっと待て」
覚束無い手つきで端末を操作してカメラを起動し、浮かんだままその場に滞在する赤い聖霊の写真を撮影する。
それを送ろうと手を動かしているうちに、エーレも姿を現していた。
そいつは何故か、赤い聖霊を嗾けているように見える。
『これだよこれ!私の聖霊!』
「見ただけで分かるもんなのか?」
『そりゃあそうでしょ』
「そうなのか……。なら、こいつはどうしたらいい?」
『うーん……。仕方ないから、君が預かっておいて。帰ってきたら返してくれればいいよ。「アスター」って名前だから、そう呼んであげて』
「了解。僕の聖霊と仲良くしてくれれば良いんだが」
エーレはアスターを追いかけ回し、僕の周りをぐるぐると回っている。
『ホタルちゃんから、「頑張ってね」だってさ。無事に帰ってくるんだよ〜』
「あぁ、今回は自分の意識を保ったまま帰るさ」
電話を切り、一度ため息をついて、慌ただしく動き回る聖霊たちに視線を向けた。
「何やってんだよお前らは……」
ℵ
あの後、家を出てからオルタと別れ、目的地へ向かい始めるのだが、天候は悪化の一途を辿っていた。
吹き荒れる季節外れの雪が、針のように体を打ち付ける。
これから数時間と歩き続けると考えると、気が遠くなってしまいそうだった。
ファントムの姿は当然のようにそこには無い。
どうやらいつ来るか分からない奇襲に備えて姿を消しているらしい。
すぐ近くに居るとは言っていたが、こちら側から確認することは不可能だ。
そのまま歩き続けて数十分経っただろうか。
吹雪は止まず、それどころか弱まる様子すら見せない。体温は低下の一途を辿り、既に限界を迎えそうだった。
「ったく……どうなってんだよ」
風の音で掻き消されそうなアカネの呟きが聞こえてくる。
何度周囲を見渡しても、当たり前のように人の気配は無く、建物の上に積もっていく雪は少しずつ厚みを増して行き、足元にも数センチ程度積もったそれらの影響で、段々と歩きづらくなっていく。
吐いた息は真っ白に染まり、指は悴んで感覚が薄れ、小刻みに震えていた。
このまま歩き続けるのは極めて困難だろう。そうは考えながらも、足を止めることはできない。
「皆さん、体調はお変わりないですか?」
歩きながら、横目でこちらを確認しつつ声をかけてくるアゼムの声は、普段と変わらずはっきりとしていた。
「まぁ……何とかな。お前も僕らと対して変わらない服装のはずなのに、なんでそこまで平然としていられるんだ」
「私、寒がりではないので。このくらいの寒さで凍えているようでは、自分の異能力で凍てついてしまいますよ」
僕も別に寒がりじゃないが。
吹き荒れる風、打ち付ける氷の塊に、瞬く間に体温を持っていかれ、体感温度は優に氷点下に達しているように感じる。
ここまで奴らに都合が良く天候が傾いてるのを目の当たりにしてしまうと、やはり何かしら裏で手が回っているのではないかと考えてしまう。
分かっている。その可能性は限りなく低い。
「にしても……全く景色が変わらんな。普段なら日が昇ってとっくに明るくなっている時間帯なのに、一面雪景色。真っ白で行先なんて見渡せたもんじゃない」
アカネは呆れたようにそう零した。
確かに、周りの街灯はまるで機能しておらず、いくら歩けど視界が晴れることはない。
この調子では、いつか体力を使い切って命に危険が及ぶ可能性すらある。
オルタには申し訳ないが、数分間でもどこかで様子を見るべきだと思うのだが……。
「止まれ!!」
突然どこかから、鬼気迫るファントムの声が響いた。
お楽しみいただけましたか?
忙しくて最近あんまり書けてないです。追いつかれないといいんですけど。
では、また次回。




