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何でも屋に招かれた記憶喪失で妖刀使いの僕は、全ての依頼を切り刻もうと思います。  作者: 失踪 -Sisso-
第一部 『黎明奇譚 Restart The World』

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第七十八審 『サイバー攻撃』

失踪です。

たまには休憩も必要ですね。

相手はおそらく電子機器を操ることができる妖者だ。非常用の装置などの機械を次々に起動して、俺の動きを縛ろうとしているのだろう。

そして、その策略にまんまとハマっているのが俺な訳なのだが。


現状、動ける範囲は両隣の二部屋及びそれを繋ぐ廊下のみ。そこより外の空間に繋がる廊下は分厚い鉄扉によって閉ざされているため、外に出ることは不可能なように思える。

俺の異能力のおかげで監視カメラなどには見つかることは無いのだが、今そんなことはあまり関係ないだろう。


この施設の天井には何ヶ所も銃火器が埋め込まれている場所がある。電子機器を操作することが出来るのならそういうことだ。

先程まではそれらから逃れながら廊下を駆け回っていたところだった。今俺がここにいることはバレていないのか泳がされているだけなのかは分からないが、正直現状勝ち目はない。


この施設は、壁、床、扉、天井に至るまで、全てのものが金属製で、それらを破壊して他の場所に移動することなどは、俺の異能力では到底不可能だ。


通信機も……死んじゃいないが、誰かと繋がる様子も見えない。

自分の痕跡を掻き消すことに特化した俺の異能力でも、流石に異能力使用中に自分で動かした物体の移動までは隠しきれない。


好き勝手動き回った結果どこかに体をぶつけて居場所がバレる、なんてことも有り得る。無闇に動くのは悪手だろう。

解決策があるとするなら、警備システムを作動させた本人を無力化するしかない。


ハルサは上手くやっているだろうか。

もし仮に俺がここを抜けられても、作戦が成功していなければ一連の行動にはなんの意味も無い。


俺はとにかく、ここから脱出する方法を考えなければならないのだが……現状は絶望的と言えるだろう。

じっとしていても何も起こらない。とりあえず再度周辺を探索することにしよう。

冷たい地面に手を付き、ゆっくりと立ち上がって異能力を発動する。


監視カメラは動き出した俺には目もくれず、俺はそのまま廊下へと出て行った。

地図を確認しながら、一箇所の壁へと近づいていき、手を触れてみる。

一番壁が薄いであろう場所はここだ。破れる可能性があるのならここしかないだろう。

この先はまた別の部屋があるはず。同じような状況が続くのかもしれないが、何も進展がないよりはマシだ。


(他の場所も確認し直してみるか……)


そう考えて離れようとした瞬間、微かに壁の先から音が聞こえることに気がついた。

再度壁に触れ、耳を近づけて聞こえてくる音をより詳細に聞き取ろうとする。


……これは、声だろうか。

何者かの声と何かを壊すような音が聞こえる。それに、誰かと会話しているようだ。

確かに壁の向こうから聞こえるのだが、なぜだか壁を隔てた真横から聞こえるような気はしない。


音が聞こえる方向に吸い寄せられるように、ゆっくりと姿勢を低くして行くと、ある事実に気がついた。

この声と音は一つ下の階から聞こえる。

正確に言うなら……この壁の先にある部屋の真下ってところだろうか。


直接この部屋と接して居ないため、助けを求めて壁や床を叩いても無意味。

そもそも、こんな状況で外を出歩ける人間なんて相当限られると思うのだが……。


もしかしてと思い、瞬時に通信機の電源を入れ、絞った声量で必死に呼びかける。


「おい、お前ら!聞こえるか!」


『ファントムさん?!今どこにいるんですか?!』


呼び掛けに答えたのはアゼムだった。


「唐突だが時間が無い、頼みを聞いてくれ。俺は今お前がいる廊下から見て西側のひとつ上にある部屋にいる。俺は真下のフロアに向かいたいんだが、そのためにお前には俺が今いる部屋の床を一部吹き飛ばして欲しい。方法は問わない」


「……なるほど、分かりました。私たちは脱出を優先します。もし何かあれば再度連絡してください。では、幸運を祈ります」


通信が途絶えた瞬間に、あいつの術式が俺の目の前の地面に刻まれ始める。

立ち上がって深呼吸し、いつ接敵してもいいように片手にナイフを携える。


俺はあいつらが逃げる時間を稼ぐためにも、監視者の目を潰さなければならない。


足元に徐々に冷気を感じ始めた刹那、氷が砕け散るように立っていた地面が粉々になり、俺はそのまま下の階へと落下していく。


その時、何者かが見下ろした俺の視界に映りこんだ。

目が合ったそいつは、嘲笑うように不敵に笑みを浮かべていた。

お楽しみいただけましたか?

昨日の分、タイトル設定忘れたまま公開してたみたいで。


では、また次回。

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