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何でも屋に招かれた記憶喪失で妖刀使いの僕は、全ての依頼を切り刻もうと思います。  作者: 失踪 -Sisso-
第一部 『黎明奇譚 Restart The World』

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第七十一審 『ホロウ』

失踪です。

回想シーンに居たのは誰なんでしょう。

……


「そうか……お前はどうだ?」


「僕も覚えてないなぁ。そういう──はどうなの?」


「俺も……生憎だな」


「母さんに聞いても詳しいことは教えてくれないし、何か教えられない理由があるのかもな」


……


「『生きてるうちに知ることになる』……って言ってた?そりゃ、適当に誤魔化されてるだけかもな」


「にしても、僕たち全員会ったことがあるはずなのに、誰も顔すら思い出せないなんて不思議だね」


「そうなんだよな……母さんが父親のことを隠したがる理由に繋がってくるのかも」


「……あ、母さんが呼んでる。二人も早く行こう!」


「あぁ、そうだな─────」



朦朧とする意識。

ぼやけた視界に映るのは見知った背中。この状況でもはっきり聞き取れる程の轟音が、絶え間なく耳に雪崩(なだれ)込んでくる。

その瞬間、ハッとして反射的に体を起こした。


「ハハ……お目覚めかな?」


横目で僕の様子を確認する彼女は、結界を必死に展開して、次々と迫り来る攻撃を(しの)ぎ続けている。


「モタモタしている暇はないよ……!君が寝たままじゃ反撃もままならない、君の武器ならそこに転がってる。私が三つ数えた瞬間に右に展開、その四秒後に奴の首を落としにかかってくれ。勝負を決めるなら今がチャンスだ、この期を逃したらまた振り出しに戻る。私を信じてくれ……!」


攻撃を受け止めながらそういうルナは、僕の返事を待つまでもなくカウントを開始した。


「三、二、一……!」


僕が駆け出した瞬間に展開されていた結界は消滅し、ルナは再び前方に手を(かざ)した。

僕は言われた通り展開していき、斬りかかるタイミングを図らう。

ルナの周囲からは先程も見たような鎖が射出され、そいつの体中に絡みつき、動きを縛る。


……ぴったり、四秒が経過した。

握り直した刀は僕の意志と連動するように激しく輝きを放つ。


タイミングや隙などは確認していない。今僕がするべきことは、ルナの言うことを信じるだけ。自分の意思など此処に介入するべきでは無い。


確実に決めるべく、直接首を切り落とそうと、巨大な首元目掛けて思い切り地面を蹴飛ばす。


当然、僕を叩き落とすべくそいつは動き出そうとするが、縛られた状態ではそう簡単に動くことが出来ないのは考えずとも明らかだった。

……だが、刀を振りかざそうとした瞬間、金属が弾けるような音が周囲に響き渡る。

それは、そいつの前足の自由を奪っていたはずの鎖が弾け飛んだ音だった。


普段通りの動きを取り戻したことにより、そいつの攻撃がほんの一瞬のうちに目と鼻の先まで迫る。


だが、焦ったのも一瞬の出来事だった。


突如として、彼方から飛来した輝く矢がそいつの頭を貫く。

何故か、僕はまるでこの展開が予想出来ていたかのように、大して驚くことも無かった。

僕はこの好機を逃すまいと、それにより体勢を崩したそいつの首元に再び狙いを定める。


「終わりだ……!!」


最大限力を込めて振るった刀から放たれた一撃は、いとも容易くそいつの首を両断した。


僕が地面に着地すると、そいつの体は塵となって徐々に風に乗って消え去っていく。

一度大きく深呼吸してから、刀を鞘に納めた。


「よくやったじゃないかハルサ!!あの状況で焦らず判断ができるのは大したものだよ!」


突然背後から伸びてきた手は、僕の頭をぐしゃぐしゃにして撫で回した。

……まるで、子供扱いだな。


「ルナ、飛んできたあの矢は……」


「あぁ、アカネのものだね。私の判断自体かなり博打に近かったけど、上手くいってくれて安心したよ」


先程からのこいつの口振りからするに、アカネから横槍が入ることは事前に把握していたのだろう。

そう仮定するなら、正確に秒数まで指定していた理由も理解出来る。博打に近かったというのは上手くいくとは限らなかったからなのだろうと、何となく想像が着く。


にしても、僕の視界に映る限りではアカネの姿は見当たらないが、一体どれだけ離れた場所から作戦を遂行したのだろうか。


「さぁ、疲れただろう。ゆっくり休ませてあげたいんだけど、君は今までどこに寝泊まりしていたんだい?」


「この領土に来てからできた知り合いのところに泊まらせてもらっていた。知らない土地で野宿なんてしたくないからな」


「そうかい。なら君はどうする?私たちに着いてくるか、その知り合いに一度会いに行くか」


「そうだな……。今回の件であいつには手を貸してもらったし、礼も兼ねて一度あいつのところに戻ることにする」


「わかった。その人には後日私からもお礼を言わないといけないね。私達もこの周辺で寝泊まりすることになるから、何かあったら連絡するといい」


「了解、じゃあ僕はもう向かうことにする。お前もちゃんと休めよ」


「あぁ、言われなくとも」

お楽しみいただけましたか?

漆獄龍の討伐がようやく完了されましたが、ルナの言う通りめちゃくちゃ強かったですね。


では、次は第七十二審でお会いしましょう。

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