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何でも屋に招かれた記憶喪失で妖刀使いの僕は、全ての依頼を切り刻もうと思います。  作者: 失踪 -Sisso-
第一部 『黎明奇譚 Restart The World』

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第六十六審 『矛盾点』

失踪です。

強キャラたちが暴れ回ってますね。

「ダメか……!ハルサさん、やはり攻撃はあなたに任せます。どういう訳か分かりませんが、私の攻撃は通らないのに、あなたの刀に直撃することは頑なに回避しようとしている。それに、かすり傷程度でしたがあなたの攻撃は一度彼女の元に届いています。ということは、私の攻撃が通らない、もしくはあなたの攻撃が通る所以(ゆえん)があるはずです。私は先程までと同じように立ち回らせてもらいます。お願いできますか?」


「……まぁ、断れる状況じゃないしな」


立ち上がってそう言う僕に、彼は少しだけ申し訳なさそうな顔をした。

刀を構え直した時、近くから僕ら三人の誰のものでもない足音が聞こえたことに気がつく。

それにはアゼムも気がついたようで、二人して周囲を見回した瞬間、続いて聞き覚えのある声が耳に飛び込んできた。


「三人も揃って、随分大騒ぎじゃないか。……ドゥームズデイ、久しぶりだね。君は私に会いたかったかい?」



〜数分前〜


「──────!!」


鼓膜に異常を来すほどのけたたましい獣の咆哮が、閑静な路地に激しく反響する。

私の後ろに展開されていた裂け目から、完全顕現を果たした白を基調としたその龍は、姿を顕すや否や、一気にスピードを上げる。


鋭く巨大な爪が彼女を貫こうと迫るが、即座に後退した彼女には届かず、直撃した地面は粉々に砕け散った。


「あなたはまだ、こんなものを隠し持っていたのですね。それだけ本気ということですか?」


彼女は迫る攻撃を回避しながらこちらに語り掛けてくる。


「驚いたかい?言っただろう。今あの子が君たちの手に渡るとまずいんだ。それだけは阻止しなければならない」


「まるで、私たちの目的が分かっているかのような口ぶりですが」


「……さぁ、どうだろうね」


言い切ると同時に、右手を左から右へ、水平方向に凪ぐと、振るわれたそれの鉤爪が彼女に直撃する。

血が飛び散り、目にも止まらぬ早さで近くの建物に叩きつけられ、砂埃が巻き上がった。


「かなり重たいのが入ったね。まだ立てるかい?」


「舐めないでください……!!」


三本の巨大な切創が胸部に刻まれた彼女は、血を流しながら呼吸を整えて立ち上がり、刀を構え直した。


「『刃刻────』」《ブレス・オブ────》


食屍龍(グール)!!」


詠唱に被せるように腕を振り上げて叫ぶと、再びその前足を大きく振りかざした。

その勢いづいた圧倒的な力を刀で受け止め、地面を滑る彼女の表情は少しづつ歪んでいく。


手が震えているのがここからでも分かる。

当然、私はさらなる追い打ちを仕掛けようとした。


「そのまま押し潰してしまいな」


「『想……衛』……!」《アルカディアス・プロテクト》


苦し紛れに彼女がそう唱えた瞬間、更に力を強めたそれの攻撃が、生じた結界によって弾かれた。

彼女はすかさず、『先程と同じ構え』をとって、再びそれを唱える。


「『刃刻祝』!!」《ブレス・オブ・ブレード》


その瞬間、白く眩しく輝いた刀の一太刀が、その龍の体を直撃。一瞬にして全身を光に飲み込まれてしまう。

正面から両断されたそれは、黒い塵のようになって消滅していってしまった。


「……まぁ、流石と言っておこうか」


「なるほど……ここまで想定済みということですか。ということは、まだ何か隠して────」


「『食屍龍(グール)』、まだ暴れ足りないだろう?」

ハッとしたような表情を浮かべる彼女に、引き裂かれた空間から勢いよく飛び出してきた巨大なその鉤爪が再び襲いかかる。

完全に不意を突いた、と思っていたのだが、連続して繰り出される攻撃を、ギリギリのところでいなされてしまう。


……だが、それも長く続く話ではない。


食屍龍(グール)、『腕』だ」


その指示に従い、一筋の斬撃が刀を持っている方の腕に直撃し、赤黒い血液が吹き出した。

そのまま掴み上げられ、自由を奪われた彼女に私は数歩歩み寄る。

さらに数秒おいて、切り離された彼女の片腕とそれが握っていた刀が落下してきた。


「悪いね。君がRebellion側の指示の都合で、私たちを殺せないのは知っている。本気で反撃できない君に、このような仕打ちをするのは少し心が痛むけど、あくまでもリーダーの指示に忠実だった君には敬意を表するよ」


「……あなた、私が()()()()()()()()()を知っていて、私の利き腕を切り落としたのでしょう……?全く……人の命を軽く見ているのはどっちなんだか……」


「おや、そうだったのかい。なら、なんで近衛塔のあの時は再生せずに撤退を選んだのかな?」


苦しそうにする彼女にそう言葉を返すと、どういう訳か口を噤んだ。

私は一度口角を上げて笑顔を見せ、背中を向けて彼女が塞いでいた道を歩き出す。


「そいつは捨てておきな。殺さないように」


直後、背後からとてつもない衝撃音。

……実は死んでたりしないといいのだけれど。

お楽しみいただけましたか?

こいつら素性がわからなさすぎる。


では、次は第六十七審でお会いしましょう。

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