第六十四審 『エクリプス』
失踪です。
投稿忘れる夢見ました。
半ば反射的に振るった刀から射出された斬撃が、そのうちのいくつかを切り裂いた。
対応しきれなかった黒い触手が目と鼻の先まで近づいてきた時、大きく後退しながら刃を振りかざし、一つ一つ対応しながら僕は好機を伺う。
その一瞬、タイミングを図り、向かってくるそれらの合間を縫って駆け出し、刀を構えたまま距離を詰めようとする。
「甘い」
そいつが持っている杖が地面を打つ音がしたかと思えば、一瞬周囲の景色が歪み、僕は気づけば体勢を崩してしまっていた。
そうなることを見越していたかのように、僕の目の前には触手に紛れて一つの黒い手のようなものが迫ってきている。
「クソっ……!」
重心の安定しない体を無理やり動かし、全力で振るった刀はその手を切り裂き、その奥にいたそいつに直撃する……かと、思われたのだが。
杖が振るわれた瞬間、一直線に進んでいたはずの斬撃の軌道がねじ曲げられ、大きく方向転換して僕に向かって直進を開始した。
向かってくるそれを、反射的かつ強引に体を動かし、地面を転がってなんとか回避する。
無表情でこちらを見つめるそいつを、睨むように目を合わせた。
……今、何が起こった?
攻撃を反射されたというよりは、元からそうであったかのように進行方向を定められていたように見えた。
ということは空間そのものに干渉して、自由に歪めたりできるような異能力なのだろうか。
そうであれば、斬撃の軌道を変えられたのは納得がいく。突然体勢を崩したことに関しても、周辺の空間を波打たせて足元を掬ったと考えれば説明が着いてしまう。
「休んでいる暇など、無いぞ」
そう言ったそいつが再度杖を振りかざした瞬間、今度は手足を地面に着いている感覚が消え失せた。
直後、視界が大きく揺れ、僕の体はどこかへ向けて落下を始める。
しかし、落ちた先は暗闇で一色の空間。
数秒間、浮遊感に襲われていたうちに、唐突に視界が晴れた。
「……」
突如空中に放り出され、そこで目にしたのは抱えている杖を大きく振りかぶるそいつの姿。僕との距離は一米も離れていないだろう。
軈て振るわれるその杖が僕の体に直撃しかけた瞬間、着地と同時に咄嗟に刀を構えて防御するが、続いて迫っていたそいつの蹴りが胸部を殴打した。
再び地面を転がる僕は乱れた息を整えながら立ち上がり、刀を構え直す。
反射的に対応してしまったが、突然床が抜けて気づけば場所を移動していた。だが、周囲を見渡してみても、地面に穴が空いていたりはしない。
となれば、あいつは空間を分断して別の場所と接続することが可能なのかもしれない。
そこでふと、気になっていたことを問いかけてみた。
「……お前、所属は?」
「……Rebellion、『理聖』、ドゥームズデイ、だ。これで満足か?」
やはり、七聖のうちの一人だった。
これほどまでに難解な異能力、それを使役する本人を見て、そうであったとしても別段驚きはしなかった。
にしても、タクトから聞いてはいたが、こう見るとやはりRebellion側についている七聖はかなり多い。
「戯れは、ここまでだ」
そういうそいつが構えている杖は、先程よりも強い輝きを放っている。
その瞬間、四方から迫っていた気配に気が付き、周囲を見回す。
そこらには亀裂のようなものが浮かんでおり、それは次第に拡大していく。
どうにか出来ないものかと刀を振るって斬撃を放ってみるが、何も無かったかのように通り抜けていってしまった。
こちらから『あれ』には干渉できないのか……。
そうして、軈て引き裂かれたそこから飛び出してきたのは、やはり先程と同じような影のような見た目の黒い触手。
「クソっ……」
半ば捨て鉢に刀を再度振りかぶった瞬間、僕は肌にほんの微かな冷気を感じ取って動きを止めた。
次の瞬間、そこに現れたのは圧倒的な質量の氷と、その間を通り抜ける白い霧。そして濃い灰色の結われた髪を靡かせながら、僕に背中を向けて佇む、見覚えのある一人の男の姿だった。
「大変お待たせいたしました。間に合って良かったです。それと……また、お会いしましたね」
お楽しみいただけましたか?
今日は頑張って書き進めたので休憩します。
では、次は第六十五審でお会いしましょう。




