第五十一審 『Party's Over』
失踪です。
やばい新キャラの登場です。
今日の一言。
「シャドバの新弾あるから今日はこのくらいでいいかな」
「六時の方向に敵影!今すぐそこから離れて!!─────」
「伏せろ!!」
かなり焦った様子でそう告げるホタルの言う通り、僕は咄嗟に後ろを確認しようとすると、叫ぶような彼の声が近くからも響く。
慌てて屈むと、頭上を赤い結晶が通過していき、その方向で爆発を起こした。
巻き起こった煙が晴れていくにつれて、そこに佇む何者かの姿が明らかになっていく。
「嘘……だろ……」
「ハルサ!聞こえてる?!」
通信機から届くあまりにも異様な焦った声も僕の元には届かないほど、目の前に立つそいつから溢れ出る存在感、威圧感に圧倒されてしまっていた。
「……お前たちの……目的は……なんだ」
ゆっくりと言葉を区切りながら僕らに問いかけてくるそいつに、開いたままになった口を無理やり動かしてなんとか返事を絞り出す。
「れ……連続行方不明事件の調査に……来た」
「……そう、か。命が惜しければ、今すぐに、ここから去れ。今、すぐにだ。私は他の奴らとは、違う。邪魔をするのなら、貴様の命は、無い」
変わらずゆっくりと話し続けるそいつは、機械的かつ冷たくそう言い放った。
「死ぬ覚悟が、出来ていないのなら、二度と、私の前に現れるな」
僕らに背を向けて歩き出したそいつは、軈て現れた空間の裂け目のような場所に姿を消した。
尚も、呆気にとられる僕は、通信機から何度も鳴り響く僕を呼ぶ声によって現実に引き戻される。
「ハルサ!!大丈夫?!」
「あ、ああ。問題ない。タクトも僕も無事だ」
「良かった……。ここからはどうする?」
「とりあえず、撤退……だな。捜索を続けるのはリスクが高すぎる。お前らの方には何も無かったか?」
「特に何も。とりあえず、建物の下で待ってるから、気をつけてね」
そう言って通信は途絶えた。
一度ため息をつくと、隣にいたタクトと目が合った。
「……引き上げるぞ。これからも捜索を続けるかはルナ次第だ」
何も言わずに頷くそいつの横を通って、僕は歩いてその場所を後にした。
ℵ
「……ルナ、ただいま。報告に来たよ」
「おや、随分早かったね。何かあったのかい?」
私はあの後、ルナの元へ向かおうとするハルサに頼んで、報告を担当させて貰っていた。
今日も会議室で書類を広げていたルナは、いつもと変わらない様子で返事をする。
彼女と同じように私も椅子に座った。
「まぁ、そうだね。厳密に言えば『撤退を促された』のが正しいかも」
「……どういうことだい?」
「私たちが指定の場所に辿り着いた時には、もうゴーストタウン化してて、誰一人として住民は残ってなかった。二手に分かれて行動しようって提案で、ハルサとタクトは二人で探索に出て、私たちは近くの建物の上で二人の様子と付近の視察をしてた。でも、しばらくしたところで二人の近くに突然生じた空間の裂け目から何者かが姿を現した。真っ黒だけど透き通るような髪、赤紫色の宝石みたいな目……。幸い、危害を加えられることはなかったらしいけど、撤退を要求された。遠くにいた私ですら、悪寒が走るようなあの佇まい……。私は小さかった頃の記憶はあんまり無いけど、確実にあの人とは会ったことがある。ルナ、知ってることがあったら教えて欲しい。心当たりは、無い?」
すると、ルナは暫く沈黙した後、いつも私たちに見せていた雰囲気とは真逆の真剣な面持ちで、テーブルに両肘をついて握るように両手を合わせた。
「……私も、それなりに長く生きている。だからこそ言えるけど、私の昔からの知り合いは、ただ生きていた人間ではない。妖者が蔓延る世の中を生き抜いてきた『生き残り』だ。それこそ、人によっては今の何倍も過酷な環境を生きていた人だって中にはいるんだ」
そこまで言って、再び私たちの間には数秒間に渡る沈黙が流れる。
「……『彼女』は、後者に該当する。彼女に勝てると胸を張って言える私の知人や、この組織のメンバーは、恐らくいない。それだけ危険な存在なんだ。君たちが任務の続行を選択しなくて本当に良かった。そうしなかったら、確実に君たちの命は今頃なかったよ」
お楽しみいただけましたか?
神だって賽子を振るかもしれません。
では、次は第五十二審でお会いしましょう。




