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何でも屋に招かれた記憶喪失で妖刀使いの僕は、全ての依頼を切り刻もうと思います。  作者: 失踪 -Sisso-
第一部 『黎明奇譚 Restart The World』

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第三十三審 『Devil's whisper』

失踪です。

友達にアカウントバレました。

「……お前は、ノーヴェル領領主の護衛だな。はぐれた仲間を探しているのか?」


私はその問いに答えず、臨戦態勢のまま目の前に立つそいつを睨み続けていた。

……いや、答えなかったというより『答えられなかった』のだろう。


こいつから溢れ出る威圧感……どう考えても並大抵の妖者ではない。それこそ七聖に匹敵するレベルだった。

先日工場であいつと鉢合わせた時以上に、体はこの場からの撤退を要請している。

だが、赤いメッシュに、黒一色の装い。どこかで見覚えがあるような気がする。


「まず、名を名乗るところからだな。俺は『パラサイト』、Rebellion(リベリオン)の幹部だ」


「そんなこと聞いてない。お前は何を目的に私の前に現れた」


圧倒的な威圧感だが、敵意は感じ取れなかった。だが、それが現状と噛み合わない、不自然な点ともなってしまっている。

私を始末しに来たのでなければ、何をしに目の前に現れたのだろうか……?


「お前はそこまで何に怯えている?別に、俺はお前を殺しに来た訳ではない。俺たちの役目は侵入者の足止めだからな」


「であれば、始末してしまうのがいちばん早いだろう。私を今ここで殺さない理由はなんだ」


「死なれると困るからだ……まだな。芽を摘むには時期尚早だ。他の奴らを足止めしているこっちのメンバーはどうしているか分からないが、少なくとも俺みたく会話を試みている奴なんていないだろうな。もう既にどこかで戦いが始まってると思うが……。大抵の人間は、『勝てない相手』に勝負を挑むほど、命知らずじゃないだろう。だからこうやって敵意を見せていなければ、話し合う時間さえもとっている」


そいつの態度は一貫して落ち着いていて、淡々と喋り続けた。その間も私は構えを解かない。


「だが、お前が戦いたいと言うのなら話は別だ。できることなら生かしておきたいが、死を望むと言うならくれてやるのが俺のやり方だ。お前は……どうだ?」


そう問われるが、私の中の答えは依然として変わらない。

戦わなくていいのなら戦いたくなんてない、今すぐにでも逃げ出したかった。


「……私たちを始末したいわけではないのなら、なぜお前らは私の行く手を阻む。何を目的としている?」


「残念だが、目的を明かすことはできない。お前たちの行く手を阻む理由は、そうだな……」


そいつはそう言うと、少し考える仕草をした。


「今、お前たち四人の中で唯一誰にも行く手を阻まれていない奴がいる。……誰か、わかるか?」


そう問われ、瞬時に一人の顔が頭に浮かんだ。

私たち四人の中で唯一、素性が全くと言っていいほど割れていない人物。

それだけではあるが、私がそいつを怪しむには十分すぎるのだ。


「あいつを目的地に到着させる必要がある。そこに、お前たちの応援が入ると俺たちの計画の実行は困難になる」


「なんで……あいつを……」


「それも答えられない。それはほとんど俺たちの目的を聞いているようなものだからな。にしても……ここにお前を通すにはまだ少し早いな。まだお前にはここでじっとしていて貰わないとならん」


その言葉に私は身構えるが、そいつが取りだしたのは、なにか金属の光沢が目立つ、道具のようなもの。武器には見えなかった。

そいつはそれを地面に投げ捨て、もう一度私に向き直る。


「……黒幕は案外、お前の近くにいるかもな」


思わず、思考が固まってしまった。

その言葉はまるで、私の思考を見透かしたかのようで、だからこそ驚きを隠しきれなかった。


「俺はそろそろ失礼する。仲間に先に見つけて貰えることを祈るんだな」


吐き捨てて、ここから立ち去ろうとするそいつを、慌てて追いかけようとしてしまうが、突然足元に異変が生じる。

咄嗟に視線を下に向けると、先程あいつが投げ捨てた金属の塊のようなものが、今まさに形を変えようとしている最中だった。

……まずい。

瞬時に感じとって体を反らすと、それは融解し、私を囲うようにして地面に広がったそこから、鉄柱を生成して行く手を阻んだ。

私は傍から見れば、牢屋の中に閉じ込められているように見えただろう。

そこから動けなくなった私に目もくれず、夜の闇に消えていくそいつは、私に聞こえるくらいの声量で一言、何かを告げていった。


「殺されなかっただけ感謝するんだな」

お楽しみいただけましたか?

この作品に登場する女性キャラの平均身長は実は結構高いです。(現状ルナがいちばん高い)


では、次は第三十四審でお会いしましょう。

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