第二十八審 『Fortune Wind』
失踪です。
なんかストックしてるやつの中から、丸ごと1パートくらい抜けてる部分があって困惑してます。どうしよう。
不意に近くにいた見張りと目が合ってしまった。バレたのは恐らく僕のせいだろう。
だが、そんなことを考えている暇は無い。あいつらに追いつかれる前にさっさと目的を達成しなければならない。
移動している最中、僕らは矢や炎や異能力によって生じたであろう何か分からないものの的にされたが、着実に中心部に近づいていた。
「あれです!あの大きめの廃墟!窓を割って中に入りますからしっかり着いてきてくださいよ!」
大きく飛び上がって彼女がその建物の窓に体当たりすると、同然のように硝子は砕け散り、後を追って中に入ると同時に受け身をとる。
だが、そこで目に入ったのは十数人程度の人間が床に転がっている様子。
立ち上がって周囲を見渡していると、何者かの声が耳に飛び込んでくる。
「随分遅かったな。待ちくたびれたぞ」
「ここに居たんですか!何回連絡しても返事がなかったから心配したんですよ!」
「それは申し訳ない。ついさっきこいつらを片付け終わったから、連絡しようにも出来なかった。で、そいつらは……」
ふとそいつは僕らに視線を向けると、何かに気づいた様子を見せる。
「あぁ、ミロクが言ってたノーヴェル領領主の護衛と、自警団幹部のバアルか。ここまで来てもらって悪いが早速残念なお知らせだ。既に周辺の調査を終えたが、現状調べられる範囲には何も無い可能性が高い。そっちの領主に関する情報は得られなかった」
「えぇ、マジですか……。まぁそんな気はしてましたけど……。紹介がまだでしたね、彼は同じく出版社の『堤 イオリ』さんです。先程から連絡が取れなかった同僚は彼のことですね。元々ここで合流を予定していたので直接会いに来る形にはなりましたが」
「ただ一つ気になったのは、この繁華街内に半径十数米の結界がいくつも点在していたことだな。捜査の目を撹乱するためにRebellionが仕組んだものと考えるのが妥当だ。何か隠されているのかもしれないが、手がかりを集めるのなら一つ一つ確認するしかない。そんなことに時間を費やすくらいなら、次の目的地に向かった方がいいと思うが」
確かに彼の言う通りだ。
一刻も早い対応が必要とされる中、わざわざ茨の道を行くのはあまりに愚策だろう。
「そんなこと話してる場合じゃないかもな。誰だ、敵を呼び寄せたのは」
彼が少し長めの黒髪を掻き上げながらそう言って部屋に設置されている扉の方に向き直った瞬間、その奥から複数の足音が聞こえてきた。
「エイル、頼んだ」
「えぇ?!私ですか?!うーん、仕方ないですね……」
そう言うと扉がある方向に両手を翳す。
すると、そいつの手の先に周囲からエネルギーのようなものが掻き集められていく。
「皆さんは逃げる準備をしておいて下さい。追手が部屋に入ってきたら私がそいつらを吹き飛ばして道を開けます。そしたらすぐに部屋を出て屋上に向かってください。そこから来た道を辿って繁華街を出ます」
刹那、扉が勢いよく開かれると、足音の原因であろう人間がなだれ込んでくる。
「今です!走って!『暴旋風』《ランブル・バスター》!!」
その瞬間、掻き集められたそれが風を斬る音と共に打ち出され、僕らと部屋の扉の間に立ち塞がっていたそいつらが一斉に吹き飛ばされる。
そのまま僕らは走って部屋を出て屋上に向かい、そこへ通ずる扉を通過し、縁まで駆け抜けていく。
追うように扉が勢い良く開く音とともに、僕らを捕らえようとする者の怒号が飛び交うが、僕らはスピードを緩めずに屋上から他の建物に飛び移っていった。
お楽しみいただけましたか?
最近本当に無限に寝れる。気絶してるのかな?
では、次は第二十九審でお会いしましょう。




