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何でも屋に招かれた記憶喪失で妖刀使いの僕は、全ての依頼を切り刻もうと思います。  作者: 失踪 -Sisso-
第一部 『黎明奇譚 Restart The World』

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第二十六審 『禁足地』

失踪です。

夏だけは来ないで欲しいです。

「……もう、不用意に手を出してこないことだね。Rebellion(リベリオン)には僕より強い人もいる。この程度じゃ死にに行くようなものだよ」


そう言い残すと、一瞬にしてそいつはその場から姿を消した。


気配が消えたことを確認すると、僕は一気に体の力が抜け、項垂れる。

何とか立ち上がり、刀を鞘に納め、大きくため息をついた。


……途轍もない強敵だった。

正直、これより強い奴なんて想像できたものでは無いが、それが有り得てしまうということは知っている。

とりあえず、こいつらをどうにかして運び出さないとな……。

とは言っても宛は無いため、一旦ルナに相談してみることにしよう。

既に日が昇り始め、鳥の(さえず)りが聞こえてきた。



数時間後の昼間、ミロク達が目を覚ましたあと、僕らは自警団の本部に向かっていた。

怪我は完治とは行かないが、ミロクの施しによってほとんど治ってしまった。

道具とかを使っている感じではなかったため、何らかの異能力によるものだと思うのだが、やはり一度見ただけではわからない。

案内されるがまま建物の中に入っていくと、何者かがこちらに背中を向けてデスクに向き合っている。


「ゼノ、客人だ。頼んでいた『あいつら』は手配できたか?」


ゼノと呼ばれたその男は振り向き様に、立ち上がって笑顔を浮かべる。


「あぁ、バッチリだ。君たちがミロクの言ってた他領土の客人だな、名前は聞いてるよ。僕は『乾 ゼノ』。自警団……といっても、そこまで人数がいるわけじゃないんだけど。その幹部の一人をやらせてもらってる」


「自警団は基本的には私とバアルとこいつで運営している。ちなみに、今日ここにお前らを呼んだ理由は、助っ人と顔合わせしてもらう為だ。私たちだけであいつを探すのはあまりにも非効率だからな、この領土のことをよく知ってるやつらに頼むことにした。もうそろそろ来る頃だと思うんだが……」


そう言っている間に、部屋にノックが響いた。

それに彼らが返事を返す間もなく、事務所の扉が勢いよく開く。


「お邪魔します!シリウス出版社の『(はたの) エイル』です!お仕事と聞いて馳せ参じました!」


元気よくそう挨拶するそいつを一瞥(いちべつ)すると、ミロクがそいつに関する説明を始める。


「こいつはシリウス出版社の記者、秦 エイルだ。シリウス出版社は表向きでは情報誌など手がけている普通の出版社なのだが、私達も度々彼女たちから力を借りることがある。こいつは特に、取材等であちこち飛び回っている故、この領土の状況については恐らく私たちよりも詳しい。闇雲に動くより余程マシな策だろう。とりあえず分担しようか。私とゼノはここで情報を集めることにする。お前らは三人で秦と行動してくれ。秦、そっちは任せたぞ」


「はい!任せてください!」


元気よく返事をするエイルと名乗ったそいつは、僕らの方に向き直ってこれからの事を説明し始めた。


「改めて自己紹介しましょう!私の名前は秦 エイル、シリウス出版社の記者です!気軽にエイルって呼んでくださいね。本日私がここに呼ばれた原因にもなっている一件に関しては、既にいくつか怪しいロケーションを絞り込んであるので、歩きながらお話しましょうか」


そういうそいつに促されるまま、僕らは事務所を後にして、人通りの多くなってきた昼間の街道を歩き始めた。

ここへ来る時も思ったが、この辺は他と比べてどうやら治安が良いらしい。


「向かうロケーションについてですが、移動の時間なども加味して今日は二箇所ということになってます。一つは南部の繁華街です。あそこはムジカ領との国境が近くて、近年、治安の悪化が特に酷いんです。加えて建物が乱立しているので、身を隠そうと思えば如何様にもって感じの場所です。二つ目なんですけど……できればここには行きたくないですね。その繁華街から北西に進むと、数十年前から立ち入り禁止と定められていて、踏み入ることが出来ない正体不明の森があるんです。所謂禁足地(きんそくち)ってやつですね。今回、ミロクさんからは許可を頂いたので立ち入ることはできるんですが……」


そこで言い淀み、エイルは腕を組んで悩むような仕草を見せる。


「……どうした。何かまずいことでもあるのか?」


「いえ、明確にそういうことがあるわけではないんですが……。あの森、近くまで訪れたことがある人なら分かると思うんですけど、明らかに人を寄せつけない雰囲気を醸し出しているというか……。こちらからそこに踏み入りたいとも思わないレベルなんですけど、怪しい場所を挙げるとなるとやはり筆頭に挙がってきてしまいまして。確かにあそこなら誰も踏み入ろうとも思わないでしょうし、現存する勢力が拠点として占拠するにはあまりに丁度いいんですよね……」


「これには俺も同感だ。あの場所の名前は『オズワルド禁足区画』。この領土の権力者でさえ立ち入ることを拒んだ場所だ、外部の人間が住民の目を盗んで拠点を構えるには都合がいい環境になっているのかもな。俺もあの森になにがあるのか全く知らされていないからその辺は詳しくないんだが、ミロクですらあまり有益な情報は持っていないだろう」


確かに、そのような場所があるのなら既に目をつけられていてもおかしくは無い。

だが、禁足地と評される程、現地の人間ですら近寄りたがらないということは、その場所で何かがあったのだろうか。


「とりあえず、先に繁華街の方に向かいましょうか。既にもう一人メンバーが待機している筈なので、合流を目指しましょう」

お楽しみいただけましたか?

最近気を失うように寝ることが多いです。


では、次は第二十七審でお会いしましょう。

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