表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何でも屋に招かれた記憶喪失で妖刀使いの僕は、全ての依頼を切り刻もうと思います。  作者: 失踪 -Sisso-
第三章 『シーカ領事変編』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

110/110

第百十審 『事態の収束』

失踪です。

長い詠唱は強そうに見えますよね。

放たれた矢は依然として輝きを放ちながら一直線に進み、軈てその姿を捉えられなくなり、数秒後。


耳を(つんざ)くような衝撃音、目が潰れるような激しい輝き、地面すら引き剥がされそうな爆風が万物を見境なく襲う。


成功だ。

私が放った矢によって、外殻に大穴が開き、太陽の中心部を通過して反対側にまで一直線に貫通した。


これで、良かったのだろうか。間違っていた場合取り返しがつかないのだが……。


弓を下ろし、そんなことを考えていた時、真上から何かの気配を感じとった。

見上げた瞬間、私は咄嗟に走り出してファントムの方を掴んだ。アウトレイジは何故か天文台の方向を向いて固まっている。


「逃げるぞ!!走れ!!」


私の言葉の意味に気がついた彼も、私に続いてその場を離れた。あいつにはもう構ってなどいられない。


「なんで……そこまで……」


直後、背後から瓦礫(がれき)が落下してきたことによる轟音が響き、同時に地面は激しく揺れた。

何か言っていたような気がしたが、物音に掻き消されてほとんど聞き取ることが出来なかった。


私たちはそのまま走り続け、とりあえずアゼムとの合流を目指すことにした。



万策(ばんさく)尽きた。誰もがそう思った。

実際のところそうだった。事前に告げられていた制限時間を目の前にして、僕らは打つ手を失った。疑いようのない事実だ。


だがそんな時、一本の矢が太陽に向かっていくのが、この目にはっきりと映り込む。


「アカネ……」


そう呟いたルナはハッとして僕らに呼びかける。


「全員屈んで!!吹き飛ばされるよ!!」


その言葉に、この場の全員が即座に屈む。


「イザナギ、結界を」


指示通り、彼は僕らの前に出て結界を構築する。

結界越しに見えた景色は、目を疑わざるを得ない程のものだった。


一筋の光が太陽のすぐ側で(きら)めいた次の瞬間、とてつもない輝きが放たれ、太陽の中心部を串刺しにするかのように貫通した。

一気にその形を削り取られた太陽はみるみるうちに崩壊していき、あっという間に原型は消失してしまう。


読み取りきれない状況に呆気に取られていたのだが、そこでひとつ気がついた。

バラバラになった太陽の破片が、驚異的なスピードでこちらに近づいてきている。


「伏せて!!」


数秒としないうちに、それらは周囲の地面に直撃。とめどなく降り注ぐ瓦礫をイザナギは必死に受け止めるが、かなり苦しそうに見える。

次第に、結界には(ひび)が入り始めた。


「クソっ……これ以上は……!!」


はっきりと感じとれる程に出力が揺らいでいる。元々既に限界だったのだろう。


その瞬間、展開されていた結界は粉々に砕け散った。

見計らったように、瓦礫が差し込んでくる。

逃げようとしたが、退路は既に存在しない。

ルナが立ち上がり、前へ出ようとした時、何者かが目の前に滑り込んでくる。

その姿には明確に見覚えがあった。


「カルナ?!」


「下がって!!」


突如現れた彼女はこちらに向かってくるものを全て素手で受け止め、地面を踏み締めて耐え始める。

少しずつ、僕らの周りは瓦礫に覆われていくが、彼女は一歩も退かず、押し返されることすらなかった。


……それからしばらく経っただろうか。

辺りは嵐が過ぎ去ったかのように一気に静かになり、カルナは僕らを覆っていた瓦礫を片っ端から持ち上げて放り投げていく。


「皆さん、ご無事ですか?」


「あぁ、お陰様で。だが、なんでここに」


「『彼女』をさっさと片付けました。偶然が重なってたまたま上手く行っただけですけど。彼女が私の行く手を阻むってことは、あなた達が大変な目に遭ってるんじゃないかって思って。急いできたんですよ」


「そこまでしなくても……いや、結局お前に助けられたんだもんな。ありがとう。お前が居なかったらどうなってたことか」


すると、イザナギが近づいてきて僕に耳打ちした。


「彼女は知り合い?」


「そうだ。お前のことは知らなさそうだな」


「彼女、多分僕の店の前で見かけたね。特徴的な髪色だったからしっかり覚えてるよ」


まぁ、領主であるなら、彼女のことを知っていることに違和感はない。


「さぁ、ボサっとしてないで、手伝うよ!」


そうルナに促され、僕らはカルナの手伝いを始めるのだった。

お楽しみいただけましたか?

波は乗り切ったのかもしれません。


では、また次回。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ