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何でも屋に招かれた記憶喪失で妖刀使いの僕は、全ての依頼を切り刻もうと思います。  作者: 失踪 -Sisso-
第一部 『黎明奇譚 Restart The World』

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第十一審 『剣聖の名を冠す者』

失踪です。

この段階で結構既にキャラが多いです。

割とこんなもんなんですかね?

私はあの後、フレアとペアを組んで建物内の探索を開始し、十階まで辿り着いたのだが、どうにも他の階と比べて様子が違う。

加えて今、目の前の暗闇から何者かの気配が漂っていた。


「下がって、私に任せて」


耳打ちするように私に語り掛ける彼女の言葉に、私は少しずつ後ずさり始めた。

その瞬間、彼女の前方から何かが顔を覗かせる。

正体を確認する間もなく飛び出してきたそれは彼女の腕に絡みつき、自由を奪った。

反射的に動いてしまいそうになったのを悟られたのか、短く私に告げる。


「大丈夫。そこにいて」


落ち着きを払い、冷静な態度を見せる彼女からは、平生(へいぜい)とは打って変わって言葉の節々から冷たさを感じる。


「可愛らしい女の子が二人、迷い込んできてしまったみたいね……」


不気味な笑い声を漏らしながら姿を現したその女は、口角を上げ、不敵に笑みを浮かべながら独り言のように語り続ける。

……が、遮るようにフレアは口を開く。


「もっと周りに聞こえるように喋ってもらえる?そんな小声でボソボソ言われたところで欠片も聞こえないんだけど」


そう言うと、手に巻きついていた白い糸のようなものに突然火がつき、瞬く間に彼女の両腕は自由を取り戻していた。


「ホタル、火傷しないようにもう少し後ろに下がっといてもらえる?」


少しだけ後ろを向いてそう言う彼女に頷いて、私は更に遠ざかろうと前を向いたまま後ずさっていく。

すると、彼女を中心に少しずつ周囲の温度が上昇していき、目に映る景色は赤みを帯び始め、火の玉のようなものが彼女の周りに漂い始める。


「アンタの喧嘩、私が買った……!」


「フフ……そう。なら、かかってくるといいわ。相手になってあげる」


次の瞬間、地面を蹴り飛ばしてその女との距離を一気に詰め、彼女は(だいだい)色に染まった拳を大きく振りかぶった。



「そういえば、お前はルナに招集された時会議室にいなかったよな。それまで何をやってたんだ?」


「今日はルナに呼ばれるまで他の任務に出ていた。たまたまその任務が片付いて帰るところだったから、手を貸してくれと頼まれたんだよ。ちなみにだが、ノーヴェル領の近衛局ともあろう集団の拠点が陥落した理由。お前は知ってるか?」


「……いいや、知らないな」


「隊長が不在だったんだとよ。加えてその他のいくつかの戦力になり得る人員も別の任務に出ているところだったらしい。つまりこの建物を襲撃した組織は戦力がこの場所から散ったタイミングを見計らって行動に移した可能性が高いわけだ。そこに戦力を投下しようものなら、かの近衛局様もあっという間に床に伸びるだけの一般人に成り果てる。依然としてあいつらの目的は検討もつかないが、計画的に行われたものだと言うことは確かだ」


階段を上っていき、辿り着いた屋上の鉄扉(てっぴ)を開けると、目線の先に月光に照らされる何者かが佇んでいるのが確認できた。


「……ハルサ、覚悟を決めろ」


小さく呟く彼と同じく屋上に進み出て、僕はただ静かに刀を抜こうと構えを取って静止していた。

……だが、一つ問題がある。


(ようや)くですか、待ちくたびれましたよ」


そう不満を零すその女は手元にある刀に手をかけ、引き抜いたそれを僕らに向ける。

……やはり、間違いない。

こいつからは『あの男』と同じ気配がする……!


「グレイ、こいつのことは知ってるのか」


「知ってるも何も、妖者としての道を歩んでいる者なら知らない奴はいないだろ。あいつは『(さかい) オトギ』だ。確認されてるメンバーの中ですら猛者の多いRebellion(リベリオン)でも屈指の実力者で、近衛局からも厳戒の対象として登録されている程。言ってしまえば指名手配犯と同じようなものだろう。そして、この世に七人しか存在することができない、剣聖の名を担う七聖(しちせい)のうちの一人だ」


「初耳だな。その七聖って言うのも」


「七聖ってのは、簡単に言えば神に認められた実力者らしい。その神っていうのは俺にも分からないが、明らかな実力者だというのに七聖に選出されない奴もいる。それもあって、選ばれる条件は明らかになっていない。まぁでも、この世界に存在する能力者を強さ順に上から七人集めたものだと捉えて貰って構わない」


「なるほどな、それが今目の前にいると」


「そういうことだ。正直勝算はほぼ無いに等しい。逃げるか?」


「いや、ここを僕らが退(しりぞ)いたら、標的が別に移るか追ってくるかの二択だろう。被害を抑えたいのなら戦うのが得策だな」


「そう来ないとな。自由に動け、合わせる必要は無い」


「話は終わりましたか?」


刀を構えたまま、高圧的な声色で問いかけてくるそいつに、僕は再度自分の刀に手をかけた。隣の彼は取り出したナイフを片手に握る。


「あぁ、終わったよ……!」


そう言って構えをとるそいつは、声量を押えてなにかを耳打ちしてくる。


「目に入らないように気をつけろ」


刹那、周囲に突風が巻き起こる。


「『砂塵』《サンド・ストーム》……!」

お楽しみいただけましたか?

七聖の登場。彼女の実力は如何に。


では、次は第十二審でお会いしましょう。

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