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第28話 恐怖のアシカは群を成し、上陸する

多数の揚陸艦に護衛をするであろう、ビスマルクとティルピッツ、さらにシャルンホルストに至るまで、ドーバー海峡の向こう岸を睨むように停泊していた。


おおよそ、尋常ならざるこの戦力は欧州最後の、連合国の希望を打ち砕かんとする、鋼鉄の帝国(ライヒ)の心の現れであった。


1940年11月30日、未明。


50を超えるであろう揚陸艦、そしてそれらを護衛するビスマルク級戦艦2隻、そしてZ計画により建造されたM級軽巡洋艦の1番艦であるドルトムントと2番艦ミュンスターはイーストボーンへの上陸後の戦いを補佐すべく、主砲の全てをイーストボーンへ向けていた。


一方、サウスエンド=オン=シーにはどうにか1隻だけ完成にこぎつけたH級戦艦の1番艦であるフリードリヒ・デア・グローセと、これまた完成にこぎつけたO級巡洋戦艦の1番艦である、ロスバッハ、さらに日本海軍が貸し出した旧式の扶桑の姿もあった。


また、対英仏や今後の海戦優位を進めるべく、ドイツは1936年A型と1936年B型の建造リソースを全て1936年C型に回し、Z46〜48までの3隻をアシカ作戦に間に合わせた。


まだ日は登ってはいない。ゆえに辺りは闇に包まれている。


ロンドン上空。まだ星の煌めきが瞬き、加えて月さえも燦然と夜を照らしていた。


不気味すぎる首都の沈黙を破ったのは、高度数千メートルのレシプロの回る音だった。


それだけならまだ良かったのかもしれない。


けたたましく鳴り響く空襲警報と、遥か上空に響き渡る、不気味で恐怖に扁桃体に訴えてくる重低音。


次の瞬間、複数のヒューンという音とともに、鉄の塊が落下した。


地面やビルなどにぶつかると、それは赤とオレンジの光を発して爆発した。


爆撃だった。


4発エンジンを積んだHe177が、100機以上飛んでおり、それらが次々とロンドンの街へ爆弾を投下したのである。


爆撃され、白昼と勘違いしてしまうほどの明るい炎に包まれ始めるロンドン市街。


逃げ惑うロンドン市民に水をかけてもかけてもキリがないと嘆く消防隊員。


彼らに知らされたのは、破壊された空港はいまだに滑走路すら整備されておらず、迎撃機の7割は離陸段階で事故を起こしていた。


シティが大混乱に陥ってる中、ドイツ上陸部隊は、次々とブリテン島へ上陸し、イギリス陸軍の地上部隊を殲滅していった。


V号戦車から放たれる75mm砲は期待を込めて配備されたマチルダ戦車を容赦なく鉄屑、いや粉砕していった。


その頃、ウィンチェスターでは


「よし、ポーツマスから上陸した部隊はサウサンプトンを占領できたみたいです、大尉殿」


ギースラー中尉がカルス大尉に報告する。


「中尉、ロンドンまでは少し距離がある。少しばかし英気を養ってたからロンドンを目指すぞ。できれば、サウサンプトンを占領した部隊と合流して、ロンドンを制圧したい。」


「ええ、そうですね。ここでの抵抗もないとなれば...」


ギースラー中尉はそう言いながら、大尉のタバコに火をつける。


「ありがとう、中尉。ああ、おそらくホームガード含めた抵抗勢力と戦うことになるだろうな」


大尉はロンドンの方角を目を細めながら言った。


その時、黒い服を着た1人の男が2人の元にやってきてとある情報を伝えた。


「失礼します。私は武装親衛隊のガストというものです。御二方にお伝えいたします。」


ガストと名乗る親衛隊員は淡々と話す。


「先ほどアイルランド軍が...ベルファストを攻略しました。さらにアイルランド海軍の陸戦隊がマン島を経由してリバプールを目指すとの情報もあります。」


それを聞いてギースラーはコーヒーカップを落としそうになり、カルスはタバコを咥えなおした。


「アイルランド...恐ろしいな...我々が英国側じゃなくて良かったわい。こんな包囲網、今頃英国政府は...いや、その情報すらわからないかもな。」


カルスがそう言うと


「ええ、我々の相手で手一杯ですからね。プロータ作戦。アイルランドの言葉でジャガイモを意味するそうですよ。」


ギースラーが答え


「全くもって皮肉ですな」


ガストがそっと、返した。

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― 新着の感想 ―
アイルランドがイギリス相手にジャガイモの名の作戦でその友軍があちらでの一般的なポテト野郎なのは皮肉極まりますね。
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