第29話 ロンドンに向けて
1940年12月3日 旧北アイルランドベルファスト
オキーフ准将が、庁舎の会議室で地図を見ていた。
それはマン島の地図であった。
マン島上陸地点に書き込みがあった。
しかし、オキーフは葉巻を一回吹かすと、首を横に振った。
「いや、ピールはたしかに上陸しやすいうえ、交通の便も良いだろうが、その地点は敵が待ち構えてる可能性が高かろうに...」
それを聞いていたマクドナー中佐が口を開いた。
「准将閣下、僭越ながら申し上げますと...上陸地点は...ダグラスかラムジーがよろしいかと...」
オキーフが葉巻を右手に持つと
「君、その心は?」
マクドナーが返す
「はい、ラムジーもダグラスも、ブリテン島へのアクセスがしやすく、敵の想定外を切り抜けることができると思われます。加えて、ダグラスの場合、北上してピールの敵防衛部隊を叩き、ピールへの上陸を可能にします。」
オキーフが葉巻を咥えて吹かす。
「なるほどな、いや、待て!ピールの方がいいかもしれん!ダグラスはマン島最大の都市だ!」
マクドナーは慌てながら「はっ!たしかにそうでしたね!となると...」
オキーフが返す。
「いや、ピールとダグラスは繋がっている...やはりラムジーだ。」
その頃、ベージングストークでは
「ウェグナー大尉、アイルランドがベルファストを攻略し、北アイルランド全域を奪還したそうです。」
ギトー准尉が座りながら地図を眺めていたウェグナーに伝えた。
「なるほどな、我が第三帝国がバトルオブブリテンで大勝した時からだとは思うが、まさかあちらさんも順調とは...北アイルランドにいた英国軍はベルファスト陥落で戦意を喪失。結果、北アイルランド占領に終わったと考えられる」
ウェグナーが葉巻をふかしながら話す。
「ええ、おっしゃる通りと思われます...そして大尉殿。ロンドン方面への進軍についててですが...」
ウェグナーは葉巻を右手で持ちながら灰皿に置いてギトーの話に耳を向けた。
「12月4日未明に進撃する作戦が発動されました。」
ウェグナーは少し訝しみながら
「なに?急すぎやせんか?んでもって、誰の命令かね?」
少し冷や汗をかいたギトーが恐る恐る口を開く。
「ロンメル閣下です...」
ウェグナーは少し呆れながらも察した顔をして
「閣下なら致し方あるまい。兵站度外視なとこもあるが、あのお方はすでに、ベネルクスとフランスに、北アフリカでの戦いで戦功を挙げている。それにロンドンが無秩序になっている今が好機とみたのだろう...」
ウェグナーは自身の考察を述べた。
「ええ、そうかもしれないですね。我々が優勢とはいえ、油断はなりません。勝利の時まで、気を引き締めていきましょう。」
1940年12月4日、昼過ぎ
「ウェグナー大尉殿!英国の地上部隊が全くもって見当たりません!」
「不気味すぎる...まさかロンドン⁈いや違う...アプヴェーアによると俺たちとは真反対に配備されていたのかもしれん!」
「可能性は考えられますね...たしかに英国は王立海軍こそ最強ですが、陸軍はあまり評価を聞きません。となると...」
「よし、このままロンドンまで進軍だ!」




